メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

桑原あい ピアノソロ 「骨で弾く」

2018-07-27 21:27:01 | 音楽一般
桑原あい ソロピアノツアー2018 
7月24日(火)代々木上原Musicasa
久しぶりの桑原あい、それもソロは2016年東京オペラシティ以来である。
 
セットリストは、
1.Over The Rainbow(ハロルド・アーレン)
2.Home(ミシェル・ペトルチアーニ)
3.ウェストサイド・ストーリー・メドレー(レナード・バーンスタイン)
4.Somehow It's Been a Rough Day(桑原あい)
5.Dear Family(桑原あい/石若駿)
6.Love Me or Leave Me(ウォルター・ドナルドソン/ガス・カーン)
7.To The End of This World(桑原あい)
8.?(メロディーは聴き覚えあるけれど)
9.The Back(桑原あい)
10.(アンコール)Money Jungle(デューク・エリントン)
 
ピアノのソノリティがさらに良くなったことを感じたのは、最初のOver The Rainbowからで、これジャズっぽくない名曲なわりに、なぜかジャズピアニストがよく弾くのだが、かなり長くあらゆる角度からか存分に歌うの心地よく、多くの音が厚く重なってくるところでもすべてが明瞭に聴こえ、それは心地よい。
 
彼女が好きでよく取り上げるHomeは以前からペトルチアーニよりいいと思っていたが、今回はさらに完成度が高くなった。
 
ウェストサイド・ストーリー・メドレーは今回もだけれど、自身で語っていたようにこんなに自由な順番、繰り返しなどで好きなように長丁場をやるのは、ソロでないと無理だろう。まさに存分に楽しめた。
日本における1961年の映画公開時、まだ十代で驚愕、ひっくりかえったし、サウンド・トラック・アルバムですべての曲になじんだから、それはなじんで楽しめる。でも、これだけの曲が集まっているのに、初期にすでにアンドレ・プレヴィンがトリオで入れたアルバム以外はあまり扱われてこなかったように思う。今後彼女からどうなっていくか、、、

TVのニュース・ワイドでオープニングに使われているDear Family、こういう耳になじみやすい曲も作っているのだが、今回のソロはより鋭角になっていて、スピード感、スケール感もあり、新しい印象を持った。
 
The Back、最初はクインシー・ジョーンズの背中だったのだが、今回彼女が語ったように、より普遍的な背中になってきたのは確かなようだ。
 
さて「骨で弾く」だけれど、今回語ったことからすると、エレクトーンから途中でピアノに転向、そしておそらく小柄ということもあって、自らの体、ピアノという楽器の構造、など全体を考え、体の筋膜を、そして骨を有効に使いきって弾くということらしい。人体について学んだり、鍛えたりしたこともあるようだ。最近のスピードスケート選手に通じるところがある。
 
彼女を知ったのは2013年のTokyo Jazz(TV)で、驚かされたが、今後は背中をもっと鍛えたらいいなと思ったのを覚えている。それは達成されたかなと感じた。
 
このムジカーザと言うホール、収容は100人ほど、四角形の角にピアノが配置されていて、壁はあまり吸収、発散するようなものではないからか、響きはライヴだが、響きすぎとうことはなく、解像度はあって聴きやすい。鈴木エドワードの設計とか。






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