メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

リヒャルト・シュトラウス「影のない女」

2023-09-19 17:50:59 | 音楽一般
リヒャルト・シュトラウス:歌劇「影のない女」
指揮:キリル・ペトレンコ、演出:リディア・シュタイアー
エルザ・ファン・デン・ヘーヴァー(皇后)、クレイ・ヒリー(皇帝)、ウォルフガング・コッホ(バラック)、ミナ・リザ・ヴァレラ(バラックの妻)、ミヒャエラ・シュスター(乳母)、ヴィヴィアン・ハータート(少女)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、2023年4月5、9日 バーデンバーデン祝祭歌劇場
 
この数年このオペラを見る機会が何度かあり、特に2019年ウィーンでの上演でかなり理解が進み、またよく味わえたと思ってきた。今回も期待したが、これは外面的にもこれまでとあまりに違った印象で、最後まで戸惑ってしまった。
 
演出のシュタイアーはいろいろ細工をしてわかりやすくしたようだが、衣装、舞台装置などかなり明るく派手、キッチュというか、20世紀前半の庶民的な趣味の悪さなのか、下層階級の染め物師バラックの世界ではない。なんとか似合ってるのは皇帝と皇后くらいか。
 
そして舞台は、妊娠させられてしまった少女たちをあずかっている修道院という設定なのだが、そのうちの一人が黙役で最初から最後まで出てきて、登城人物たちにからみ、なにか象徴しているのだろうか、説明的すぎて、こちらの注意がそがれる。熱演なのだがそれは別。
終盤にこの娘に対応する歌詞が出てはるから、これにヒントを得た演出なのだろうが、あまりにも自分勝手。
 
歌手たちはまずまずで、このオペラでキーとなるバラックの妻も乳母もうまいが、今回はヘーヴァーの皇后がよかった。この話、終盤になって皇后が前に出てきて展開も音楽の盛り上がるが、ここで聴かせた。
 
とはいえ、音楽は本当に素晴らしく、ペトレンコ指揮ベルリンフィルの腕の見せどころだった。音楽だけ聴いているほうがよかったかもしれない。
 


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