メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

大いなる遺産

2018-07-09 21:05:38 | 映画
大いなる遺産(Great Expectations、2012英、129分)
監督:マイク・ニューウェル、原作:チャールズ・ディケンズ、脚本:デヴィッド・ニコルズ、音楽:リチャード・ハートレイ
ジェレミー・アーヴァイン(成人ピップ)、ホリディ・グラインジャー(エステラ)、ジェイソン・フレミング(ジョー)、ロビー・コルトレーン(弁護士ジャガーズ)、ヘレナ・ボナム・カーター(ハヴィンシャム)、トビー・アーヴァイン(少年ピップ)、ジェイソン・フレミング(ジョー)、レイフ・ファインズ(マグイッチ)
 
さて高齢になってしまった昼、何を読むか聴くか、何を読むかなど、暇になったらなったでありそうなものだが、そこがなかなか、、、
 
前にも書いたけれど、ものごころついた前後、当時は複数の出版社から出ていた日本文学全集、世界文学全集がポピュラーで、街の本屋、学校の図書室に必ずあり、読書を進めていくうえで、参考になったものである。
ただもっともらしい評価がある作家、特に読み進むのが楽そうなものは、その理由であまり手に取らない、ということはあったと思う。
 
ところが中年を過ぎるころから、まだ読んでいないもので、時間に余裕があるからのんびり読んでもいいや、というものを次々と読み始めた。それがイギリス女性作家による長編小説群、特にジェイン・オースティンであり、フランスだとバルザックなどであった。
頭でっかちだったころだと、何か俗っぽいと思っただろうが、半分は娯楽的な期待で読めば、かなりの収穫はあった。
そういう中でイギリスの男性作家の小説もいくつか読んだのだが、有名ではあるが全く手をつけてなかったのがディケンズである。
 
その「大いなる遺産」、原作を読んでから映画というセオリーもあるかもしれないが、そうこだわらなくてもいいかと思っている。
 
さて、19世紀イギリスの田舎、親がいなくなり姉の夫である鍛冶屋のジョーに育てられているピップ、ある時屋外で脱走した囚人マグイッチと出会い、結果として少し助けることになる。囚人は結局つかまって連れていかれるが、その最後の少年との短いやり取りで、後の展開がほぼわかった気になる。ところが、、、
 
少年は屋敷に住む変わった夫人ハヴィシャムに目をかけられ、養女エステラと出会い互いに惹かれる。そこへ弁護士ジャガーズが現れ、ピップが匿名の人の大いなる遺産を相続することになったと告げる。そこからピップはロンドンで紳士の仲間に入る訓練を受け、違う世界に入っていくのだが、それは実は前段の世界ともつながっていて、最後はそれぞれの駒があるべきところにはまっていく、あれあれ、という話である。
 
したがって、ジェットコースター的なミステリー、ちょっとホラーともいえる世界で、アニメになってもいいくらいである。言ってしまえば、娯楽映画ベースのイギリスの田舎、富裕の大きな格差を背景にしたドラマ、エステロとの恋もまだるっこしい。が、最後はなんとか見る側の勘定としてもまとまりがついたというところだろうか。エステロは嫌なところが多いけれど、最後の1シーンで、でも人は変わると思わせるところがいい。
 
俳優としてはやはりヘレナ・ボナム・カーターとレイフ・ファインズ、どちらも老けたメイクの場面が多いが。私がヘレナを見るのは先の実写版「シンデレラ」のフェアリー(ゴッドマザー)以来、こういう歳をとった変わったキャラクターは共通していて、嫌いではない。この映画にはエステラ役のホリディ・グラインジャーもシンデレラの義理の姉アナスタシア役で出ている。


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