メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

メシアン「世の終わりのための四重奏曲」

2024-03-27 15:22:40 | 音楽一般
メシアン:世の終わりのための四重奏曲
ヨーロッパ教育文化センター(ポーランド ズゴジュレツ)
2020年8月28、29日
ヴァイオリン:イザベル・ファウスト、クラリネット:イェルク・ヴィトマン、チェロ:ジャン・ギアン・ケラス、ピアノ:ピエール・ロラン・エマール
 
これは再放送で初回に続き今回も観た。オリヴィエ・メシアン(1908-1992)が捕虜として抑留されていた時代に構想され書き上げられた作品で、1941年1月15日スタラッグの第8捕虜収容所で初演された。今回演奏されたセンターの所在地はこの収容所があったところだそうである。
 
メシアン特有の宗教的であり現代音楽的であり、というのが適当かどうかであるが、わかりやすいとは言えないけれど、四人の奏者(エマール以外は初めて知る人たち)の自信をもって入り込んでいく演奏で、最後まで聴くことが出来た。メシアンは宗教的というより私にとっては官能的であり色彩も鮮やかで、表面的には難しい現代音楽という感じはしない。ブーレーズ、シュトックハウゼン、クセナキスなどの育ての親といわれているけれどもちょっとちがうかなと思う。
 
ところで思い出したのがメシアン本人がピアノを弾いているLPで、探したらまだ持っていた。日本コロンビアから50年ほど前に廉価盤(1000円)で出たものでおそらく戦後数年の録音、メシアン本人のピアノ、ヴァイオリン:ジャン・パスキエ、チェロ:エティエンヌ・パスキエ、クラリネット:アンドレ・ヴァスイエというメンバーである。
やはりメシアンはうまいというほかないが、他の4人も前記の人たち同様、優れた演奏である。メシアンの記述によると1941年収容所での初演ではピアノとチェロがこの録音と同じだったそうである。
こうして聴くと、収容所で弾いた4人は捕虜だったのだろうが、こういう曲を弾けたということには驚く。特に弦楽器はともかくクラリネットでこんな演奏ができる人がよくいたなと思う。ひょっとしたらこの奏者がいたからクラリネットを使ったのかもしれない。メシアン特有の鳥を演じることも得意だったから。
 
それにしてもそういう境遇でよくこの曲を創り演奏した。
メシアン、特にピアノ曲は50年前あたりにはコンサートや録音でよく聴いた。これを機会にまた聴いてみよう。


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