京阪電鉄に乗り出町柳駅で叡山電車に乗り換え、一乗寺駅で下車すると、東京下町の私鉄沿線によくありがちな生活臭が漂う街並みが続く。マンションやアパート、古い民家、総菜屋さん、クリーニング店、不動産屋、和菓子店、食堂、昔のパチンコ屋さんみたいな建物は卓球場、年配の人たちが元気に練習をしていた空間だけが異質。
その並びに、恵文社一乗寺店を見つけた。この書店も全国から訪ねて来る人が多いという評判。店の中に入ってあたりを見渡すと、この書店のコンセプトは「おしゃれ」と感じる。普通の店にあるような壁と通路に書棚を並べ、ただ本を詰め込んでいるのではなく、書棚、平台にゆとりを持たせながら、1冊1冊の本を丁寧に配置している。もちろんスペースが限られているのでジャンルを絞り、そこに書籍を選択した店主の意図を感じられる。
また、店内には、陶器、文房具、アクセサリー、小物雑貨、CD,古書、クラフト材料なども揃えられ、その日は京都出身のイラストレーターの童話原画展が開催されていた。全体的にターゲットは女性か。
荷物として重くなってしまうので、京都の出版社で発行された本など2冊を購入。市内中心部から離れていて決して立地の良くない場所であるが、店の特徴に対して応えてくれるお客さんがいるのは、京都という歴史の厚みのある土地柄なのであろうか。
時間が許せばもう少し長期間滞在して、京都市内の書店や古書店を回ってみたい誘惑に駆られた。