『震災後のことば 8.15からのまなざし』(宮川匡司編 日本経済新聞社 2012年刊)
2011.3.11以後について、1945.8.15敗戦をくぐり抜けた世代を代表する表現者たちへの宮川氏によるインタビューで日経に連載したものを本にまとめた。取材したのは、吉本隆明、中村稔、竹西寛子、山折哲雄、桶谷秀昭、古井由吉の各氏。なかでも吉本氏には震災後3ヶ月の2011.6.17に訪問している。吉本が亡くなったのが、2012.3.16、これは氏の最後の声といえよう。
吉本氏の注目すべき発言としては、原発についての考え方である。「発達した科学技術を、もとへもどすっていうこと自体が、人類をやめろ、っていうことと同じだと思います。」とはっきり言っているのだ。
私は、3.11後俄かに原発反対を叫びだした輩が一番信用できないと思っている。私も理系出身であるので、技術の欠陥や未熟は人間の知恵で克服していかなければならない、という原則は持ち続けなければならないと思う。今回の原発事故事態には、商売としてやっている電力会社やそれと一体の規制省庁による人為的、経済的要因が絡んでいるのはもちろんのことと考える。
私には、自分の持続力が無かった反省を踏まえて、30年前から原発反対の姿勢を変えていない人については尊敬するものである。繰り返すが、日共のように震災後6月になってから原発廃止を主張しているのは論外。
現在の東電や政府、大学などの研究機関が、安全な原発を作り出せるかどうかはかなり難しいと考えるが、自分を含む人類を信頼しているとすれば、必ずや原子力を100%制御できる技術が開発される時が来る、それに向かって進むべきと考える。
今週末に小旅行に出ようと思っています。テーマは、仏教かな。