
ビンディングの位置決め!源工房(木工所)にて
先月、みさごさんから山スキー板のインビス化の依頼があり、昨日、出来上がった板をお渡ししました。
みさごさんとはTJAR(トランスジャパンアルプスレース)という物凄く過酷な山岳レースを完走した凄い山ヤです。そんな方からの依頼もあり、しかも道具には可成りこだわる人なので、その辺のところキッチリやって、記録として残します。
去年、同じ山仲間のK永さんの依頼でテレマーク(22デザイン)のインビス加工をやったのでその辺の急所は押えたつもり。なので、今回もイイ仕事をしました。


中心線を毛書き、ビンの穴のセンターを毛書きます 既インビスはトップシートから僅かに出ていたので、専用工具(ヤスリ)で削って平滑にします。


インビスの長さは9mm ボール盤で深さ9.5mm(+0.1、-0)の許容誤差で直角に掘ります。
みさごさんの板はダイナフィットのBALTROに既にテレマークのビンが取付けられるようインビス化されており、そこにダイナフィットSPEEDを付けるので、あまりブーツセンターが変わらないよう既インビスの許容ギリギリのところに付けることにします。
大体の場所が決まれば後はいつも通り、毛書き用のテープをトップシートに貼り板の長辺のセンター出しを行います。その後はダイナフィットSPEEDのビスのセンターを専用の定規などを使って正確に毛書き、後はセンターポンチを打って、先行穴そして本穴(φ6.3mm)を開けます。今回は垂直に開けるために、前回同様に源工房(鉄工所)でボール盤を使いました。


面取りします。 そしてタッピング!中にはメタルが入っていません。空洞なところも有りました。軽量化重視の板と実感
その後は、K永さんから借りてきた、当該インビス用のドリルタップで慎重にタッピング!雌ネジがキレイに彫れました。
そしていつもの「2液混合性エポキシ接着剤」を注入(いつもより多い量となった)し、インビスを慎重に挿入しました。
ここでポイントは、トップシートから約0.5mm程度深く挿入してやり、その上をエポキシで覆ってやり、乾いたら平滑にするためにカッターで削ること!こうすることで、トップシートからインビスが突起しないため、ビンディングとトップシートが面で合わさり、ビンの剛性が上がる。これはいつもの木ネジビス取付けでもボクがこだわっているところ。


いつものエポキシを注入!けっこう入りました。硬化強度最強!! 慎重にインビスを、ねじ込み挿入!トップシートから約0.5mm深く入れる!
ショップが適当に付けたものは、面どおしくっ付いていないことが多く、山で命を預ける板じゃないといつも思っている。
そんなこんなで、加工時間度外視でほとんど趣味の世界で取り付けている。
そして出来上がり!


締め付けネジも1本1本金鋸で切断し、ヤスリで長さ調整し、テーパーを入れてやります。 みさごさんもヤスリで削りだし中!
最後は取り付けネジ(M5)を、インビスの雌ネジに最も適した長さに切り出す。トゥーピースとヒールピースのそれぞれ締め付ける母材の厚さが違うので雌ネジ最後まで確実に締め付けられる。(摩擦の効く面積を最大限にしてやる)
こうして、ブーツのヒールのセンターがスキーの長辺のセンターに来るように、ビスを締めてやり完成(みさごさんは、ビスにネジロック(緩み止め剤)使用するとの事)

我ながらの良い仕事に満足!
本日もとてもイイ仕事ができました。彼とは食生活など、ボクと考えがよく似ていて、話していてとっても楽しく、話し尽きなかった。今度は山に行くのはもちろん、お酒飲みながら色々話してみたいと思いました。ストイックな人って面白いです。
今シーズンは是非ご一緒しましょう!もちろんお酒も(笑)
山で命を託す道具なので、取り付ける側も気合が入ります。
過去に山でスキーの不調で泣く泣く下山したり、山で修理したりと、そんな現場に居合わせると、道具の大事さを痛感します。
ということで、山スキーは板は折れるのは仕方ないとして、ビンは堅牢で壊れにくいものを、そしてビスは緩まないをモットーとしています。
山スキーよろしくお願いしますね!