引き続きLameness in Horsesから仙腸部の障害について。
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治療
仙腸部疾患のすべての症例において、完全で徹底したリハビリテーションプログラムが馬の完全な回復のために非常に重要である。
靭帯付着部障害と靭帯炎が考えられる最も有力な診断であるときには、患部を動かさないために2ヶ月間休養させることが治療の最初のステップである。
骨盤部の制限されない動きは避けなければならず、治療の最初の2ヶ月、外に出すことのない完全馬房内休養だけが骨盤部を動かなくさせる効果的な方法である。
この馬房内休養期間は、1日に2-3回、10-15分間、平坦な場所でまっすぐに曳き運動する。
このとき、NSAIDsの経口投与が靭帯と骨の炎症を完全に減少させる補助に必要とされる。
著者の診療所では、フェニルブタゾン(500-600kgの馬で1gを12時間ごと)を選んでいる。
最初の2ヶ月の馬房内休養のあと、1ヶ月間の騎乗しての常歩を始めることができる。
この期間は、腰仙部と仙腸部の横曲げと回転を増やすために蛇行や円運動で歩かせる。
騎乗者は馬を円へと傾け、徐々に円の径を小さくし、このことで横への屈曲を増やしていく。
リハビリテーションの4ヶ月目は常歩でこの同じ運動を行うとともに、速歩でも行い、スピードを上げて行くことで腰仙部と仙腸部の負荷を増やす。
リハビリテーションの最後の2ヶ月は毎日1-1.5時間まで長い時間騎乗する。
駆歩はしっかりと短い時間おこない、何度も速歩へ落とし、腰仙部と仙腸部の背側と腹側への屈曲を増強する。
駆歩を短い間隔で行うことはその部の関節の屈曲と伸展を補助する筋肉が疲労したり、最初の損傷で傷ついたかもしれない靭帯が生理的限界を超えて動くのを避けるためにとても重要である。
このリハビリテーションプログラムは、仙腸部の可動性を広げ、筋肉の補助を徐々に回復させる。
この運動は臀部の筋力と同様に、脊椎上の筋力も発達させる。
これらの筋肉は仙腸関節と、それを助ける靭帯組織の動きの範囲を制限する上で非常に重要である。
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このようなリハビリメニューが詳細に書かれている章はあまりない。
大切なことだとも思うが・・・・・それだけかいっ!とも思う;笑。
傷み方や回復の仕方は症例ごとに違う。
機械的にリハビリメニューをあてはめることで症例ごとの反応の比較はできるかもしれないが、
そのメニューがそれぞれの馬に最適かどうかもわからない。
しかし、仙腸部の障害について執筆を依頼されるほどの先生の金言なのだろう。
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今日は競馬漫画の原作と作画の方が取材にみえた。
浅学にして?その漫画は知らなかったが、リアリティーを大切にしたいとのこと。
競走馬が骨折し、そして復帰するパートが良いものになるようお祈りします。
はるか昔のことだと記憶が薄らぐのは仕方ないことです;笑。
痩せた馬で仙結節部をよく観てください。痩せているだけでは仙結節は仙椎棘突起より高く飛び出しません。片側の仙結節が飛び出している馬では簡単にわかります。
どうも「作品」を読んでいないのでイメージが湧きませんでした。しかし、予後不良と判断された馬が奇跡の復活を遂げるストーリーには何かドラマが必要ですね。
仙結節がとびだして見える馬はときどき見かけますが単にやせているとかともが貧弱というだけではないのでしょうか…?つい最近、排尿姿勢をとれないという馬(サラ/セン13才)をみせてもらいました(足元手入れのときも前ぶれなくそのままおしっこをするので人が頭からかぶりそうでアブナいそうです^^;後肢がいつもよごれぎみとか)が、片足鶏跛でともが貧弱で仙結節が顕著に飛び出していました…障害は真面目でよく飛ぶそうです☆
私が行って手術したことに・・・には、「行きません」と答えておきました;笑。
以前に書きましたが、Roony先生の説では、もっとも仙腸関節に負担がかかるのは、後肢が前へ滑ったときです。逆に、後へ滑っても逆の回転モーメントが仙腸関節にかかるだろうとは思います。
そのず~っと昔の症例はおおいにありえますね。あとあと仙結節が飛び出したりしませんでしたか?
このようなリハビリだと一番の要因は時間かもしれませんね。そして、年齢による回復力の差も大いに影響するように思います。
ただ、もとの障害とその程度がかなり評価が難しいものなので、リハビリの評価も難しいだろうなと思います。
格好良く描かれていますように、キャ^^/☆
リハビリなるほど具体的と思ういっぽう、hig先生のおっしゃることもそうですね。以前の症状の書かれ方もどうもあいまいな気がします。。
ジャンピング馬が仙腸部を急性に傷害するときというのは、やはり障害の着地時ではなく、飛ぶときに後ろ足でジャンブする瞬間でしょうね…?ということは、傷害がシビアな場合、飛んだとき発症して着地時には歩行困難となって、動けなくなっているのでしょうね・・・肢に骨折や関節の腫れなどの異常はみられなく、まるでヒトのギックリ腰のように見えるでしょうね?
・・・・・ぐだぐだすみません、学生時代、ジャンプ競技の準備馬場でそうなった馬がいましたので。。もはや動けないので人が下りて鞍を外して、ソロソロと蟻の歩みで馬房に戻し、馬房内休養して数週間、徐々に歩けるようになって月単位で治りました。馬のギックリ腰や!と言っていましたけれども、あれがもしかするとそうだったのかもと思いましたーー;
リハビリはかなり地味なことも多いですよ。おんまさんのリハも様々な分野の知識をいかして、獣医師の診断にもとづくメニューにより結果へとつなげるものなのだろうと思います。