馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

危険なデベソ 

2019-08-21 | 急性腹症

きのうは午前中、競走馬の中手骨外顆骨折のscrew固定を予定していた。

が、朝、1歳馬が臍が腫れて疝痛をしている、との依頼。

腫れた臍の中には分厚くなった腸管が見える、とのこと。

夜間放牧されていて、夜中から痛かったらしく、顔を擦りむいている。

これは後回しにはできない。

臍で締め付けられた腸管が破れたら、救えない腹膜炎を起こす。

このようになるのは、指1本か2本くらいの小さめの出ベソが多いように思う。

腸管が入り込んで、ちょうど抜けなくなる大きさなのだろう。

腫れた臍。

皮下織もひどく厚くなっている。

中の腸管を傷つけないように慎重に切開した。

中の腸管は緑色がかっている。

こうなっていると押し戻して、臍を閉じる、などという簡単な手術ではすまない。

臍輪から切り広げ、腸管手術になる。

壊死部を含めて50cm切り取って、端端吻合した。

臍に入り込んでいたのは回腸だった。

閉腹には注意が必要。

腹膜の延長であるヘルニア嚢を切り取っておかないと、ヘルニアのまま治ってしまう。

                 -

午後は繁殖雌馬のフレグモーネからの関節炎?が準急患で来院した。

さらにもう一頭、結腸の便秘と捻転の開腹手術後の競走馬が便秘になって来院した。

そして、2時から蹄骨伸筋突起の骨折のscrew固定、これも準急患。

それが終わってから、朝一に予定していた中手骨骨折のscrew固定をやることになった。

                 -

誰だ、セリ期間中診療は暇って言ったヤツは・・・・・

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朝夕はすっかり涼しくなった。

夏も終わりだな。

 

 



2 コメント

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Unknown (はとぽっけ)
2019-08-21 06:02:10
 危険かどうか、体温も判定に使えそう、とおもいました。安易に圧迫で済ませちゃいけないんですね。
 バッタもカメラ目線!
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>はとぽっけさん (hig)
2019-08-22 07:29:31
出ベソであるだけで臍ヘルニアということなのですが、こうなると”かんとん性”です。押し戻せない、締め付けられて壊死する、ということになります。

危険の要因について書こうと思っていて、本文に書き忘れました。記事に追記しました。
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