さて、子牛の脛骨骨折2症例をインターロッキングネイルで治療した報告のもう1例。
これもたしかに治療するのが難しい骨折だ。
螺旋骨折で、骨折部が長い。
大きく骨体が裂けているだけでなく、いくつも亀裂がある。
3ヶ月齢、89Kgのbeefalo という肉用種だそうだ。
乾草の塊の下敷きになった。
さて、著者らの内固定方法についての検討。
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ノンロッキングプレート(LC-DCPあるいはDCP)は当初適応だと思われた。
screwが引き抜かれるリスクは、構造的により強い骨により軽減されるから。
(3ヶ月齢なので、新生子牛より骨が強い、と言いたいのだろう)
さらに、皮質骨screwは両側の骨端板と関節から離れたところを狙うことができる。
しかし、3.5 あるいは4.5 mm プレート用に入手できるscrewの長さはbicortical(対側皮質へ届かせる)には短すぎる。
そこで、3.5 あるいは4.5 mm LCP であれば、LHSは入手できる長さで monocortical (手前の皮質にだけ効かせる)で良いので、考慮された。
しかしながら、症例1で書いたように、プレートの近位部は骨幹端の広がりに沿うように曲げなければならないので、screwは骨端板を貫く方向を向いてしまう。
このことは、医原性の非対称の骨端板閉鎖と、それによる患畜の肢軸異常を引き起こすリスクを増大させる。
angle-stable interlocking nails の利点と、プレート固定の制限を考えた上で、インターロッキングネイルが理想的だと思われた。
さらに、サークレージワイヤーを用いた骨折固定が負荷抵抗を創り、このより体重がある子牛の大きな荷重からインターロッキングネイルを守る。
最終的に、症例1と同じように、インターロッキングネイルが他の骨折固定方法に比べて、財政的により経済的であった。
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LCPじゃなくて、DCPでも行けるかと思ったけど、対側皮質まで届くscrewが手に入らない。
それならLCPにLHSなら手前の皮質に効かせるだけでも良いかもしれないけど、LHSはLCPに垂直にしか挿入できないので、
骨端板(成長板)を貫いてしまう。それは、成長上の問題を引き起こす可能性がある。
というのが、著者らの手術方法選択上の主張。
確かに、難しい骨折ではあるのだが、同じタイプの骨折を私はDCPやLCPで治してきた。
螺旋骨折を完全に整復し、
lag screws を複数入れられるのでずれないように固定しておいて、
DCPでもLCPでも、ブロードが良いだろう。骨幹の長さに近いプレートで固定する。
骨幹部では手に入る長さのscrewで充分届くはず。
骨幹端では、対側皮質まで届かないかもしれないが、7cmほどの長いscrewになるので、必ずしもbicortical でなければダメということではないと思う。
そして、著者らがひたすら怖れている骨端板を貫くことは、大きな問題を引き起こすことはないことを私たちは知っている。
サラブレッドでもsingle screw 法で肢軸異常を治療するのだし、
サラブレッドでも子牛でも、成長板損傷だと成長板を跨ぐ内固定をするのだし、
それらの子馬や子牛のほとんどに大きな問題が残らないことを経験しているからだ。
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"Finally, the ILN was financially more economical compared with other osteosynthesis methods."
financially more economical という表現は私にはわからない。
インターロッキングネイルは、LCPにLHSをずらりと入れるよりさらに高価なんだろうな、と思うだけ;笑
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薪棚の薪の中で冬眠していたカメムシ。
去年の秋は大量発生したようだ。
薪と一緒に家の中へ運び込んでしまう。
虫が嫌いな人や綺麗好きは薪ストーヴには向きません。
beefaloはコレステロールが少なくて赤身がちでお値段牛肉の2倍くらいとバッファローより安くて、成長が早いので出荷までの飼育もバッファローより早く3年くらいで、、、。日本の和牛に似た状況なのかな?と。であれば、治療する価値のある家畜なのだろうと思います。
治療費は国内外問わず治療内容だけでは比較はできないのですね。
施術後の飼育管理が楽なほうを選択する傾向があるのでは?とかなりの偏見をもって予想。
カメムシねー。(品種の特定、失敗)
hig先生のところにはユリ科の植物も見うけられるようで、薪などに越冬タテハもいるかも
治療費というのは、人件費、薬剤費、消耗品費、施設利用費、需要と供給など、総合的に決まるので、単純比較はできません。ただ、インプラントの値段は、こういった内固定施術でかなりを占めますので、比較の対象になります。
薪について家に入ってくるのは、カメムシ以上に糸トンボですね。体を細くして、薪のひび割れの中や、樹皮の下にもぐり込んでいます。そして暖かい室内で飛びます;笑
しっかし環境や心理的負荷を盾に人造肉は本当に伸びてくるように思います。
キャスト固定でも一割くらいは癒合するかも。
小動物では骨端板に対し固定力が勝るのでしょうけれども、特に牛の成長板ではお構いなしかも知れませんね。
ワイヤー巻いたの?ちょっと固定力が信じられません。
糸トンボはあった事ないです。飛んでるメルヘンに遭遇したい笑
人造肉がどれくらいの速度で実用化されていくか、はこれからの肉畜産業に影響を与えるでしょう。安い肉、加工肉、飼料肉、などは置き換えられていくのでしょう。和牛は生き残るでしょうけど。
この長い螺旋骨折をキャスト固定すると、まず変位して変形癒合するでしょう。90kgですから皮膚を突き破って開放した可能性もあります。
糸トンボと言っても、綺麗な色のじゃなくて、地味なやつです。糸トンボが舞うのは良いのですが、そのうち窓際に死骸がいっぱい;笑
保存しないでその場で食べるなら一頭捕殺すれば十分な量が確保できるのかも。
日本人なら豆腐食え、なのでしょうけれども。
アルコールで澱粉を分離した酒粕なんかも、たんぱく源として悪くはない。
患肢の変形も然りながら、他肢に新たに起きる問題ですとか、それを込みの治癒率と内固定のコストパフォーマンスを比較して治療を飼養者に提案できる獣医師なら身に着けたほうがいい手技でしょう。
頼み頼まれだから手技の信用が棄損される。
カメムシみっしりよりいいかなと思いましたが、死骸積みあがるくらい出てこられるとそれはそれで切ないかも。
菰みたいに越冬あてにして入り込んでるんですもんね。。
プロテイン飲料、プロテイン粉末が人気ですからね。栄養と食事は別、となっていくかも。
骨折内固定などは、まだまだコスト以上に成功率が課題です。より確実な方法を選択すべきでしょう。そして経験と実績ですよね。
前もうまく行きましたよ。前にも治してもらったよ。となっていきたいものです。
昆虫アパート、というのも注目されているようですよ。私もちょっと興味あります;笑
整復手技はその中ではアパートメントといえるでしょう。
こういうアクシデントもリスクとして織り込める農場が経営できるマネージメントに入っていければ他にも獣医師としてもチャレンジできるチャンスがあるかもしれませんね。
そこが最大価値なのでしょうから。
そこを生み出せるかどうか。
モノ食べたことはないのでわからないですけれど、日本短角のフィレとそれ以外の部位を考えるて想像してみたいなところです。
魚肉ソーセージとかスパムみたいな流通形態になって、コンビーフコンミートみたいになるのかもしれません。
そういえば昆虫食もたんぱく源でしたよね。
イナゴとか。食べたことないです。
あとは、厳しい症例には手を出さないことでしょうね。8-9割以上の治癒率でなければ、農場も診療所も、やっぱりだめじゃん、ということになってしまいます。
治療費と手間の分だけ被害拡大しますから。
隙間がいっぱいある巣箱のようなものを庭においておくとそこで虫が越冬するらしいです。人の自己満足のような気もしますが;笑
そこで次を考えるか諦めるか、予後判定はそんなにかからないと思います。
延々と引っ張って管理のせいにはできないですね。
でもね。あるんですよ。謎な外傷縫合して帰りにまた電話かかってきて別のところに同じような謎傷作る世話人が笑
必ずしも観血が必要ではない症例で、畜主が手術を希望しているのにそれは必要ないよ、といってしまう獣医師や診療所がこの手に手をつけるのはやめた方がいいでしょうね。
観血選択がダメもとになっているんです。
外科ってそんなものでしょうというところが、農場のゲインやステータスを喰うツールにしているに過ぎないのです。
診療所全体のリソースすら無駄食いしているかも知れない。
薪棚二重底にすれば棲み分けできそうですね。
底は寒いのか。
底から抜ける薪棚なんかアイデアないですかね。
上にどんどん積んで、乾いたの下から抜いて、越冬虫は上に入るから虫引かなくて済むみたいな。
上手くいったら流行りますよ。
薪棚からじゃんじゃん運び出している季節ですが、日当たり良い側とか、下の方とか、カメムシの好みはなさそうです。
昆虫アパートはよほどうまく大量に作らないかぎり人の自己満足だと思います。あるいはあまりに自然の越冬場所がない環境か。