馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

北海道NOSAI馬外科高度化臨床研修

2018-10-04 | How to 馬医者修行

今週は、北海道の外部のNOSAIから3名が研修に来ておられる。

オータムセールと重なってしまったので、診療はすっかり暇。

しかし、忙しいと説明したり、講義したりする余裕がないのも現実。

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初日は、午前中下顎に慢性的に化膿性の肉芽巣ができた繁殖雌馬の切開・切除手術。

静脈麻酔で倒馬室でやったのだが、もともと寝起きが良くない馬で、麻酔覚醒時におかしくなった。

一度、二度と立ち上がったのに、震えて、興奮して、また倒れこんだ。

発汗している。

PCV53%、乳酸値13mmol/l。

体温は41℃。

悪性高熱”様だった。

ホースで水をかけて体を冷やした。

酢酸リンゲルとヘタスターチを点滴した。

それで1時間ほどで落ち着いて、歩いて帰っていった。

麻酔の珍しい緊急事態を研修の先生たちに観てもらうことになった。

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午後は、子牛のプロポフォール麻酔の講義。

サラブレッド生産地の馬臨床の講義。

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2日目は、当歳馬の球節捻挫の骨片摘出。

関節鏡を入れたが、骨片は見えなかった。切開して摘出した。

午後は、子牛のプレート固定の練習会。

3名の先生にそれぞれが、脛骨骨折、大腿骨骨骨折、橈骨骨折、上腕骨骨折を練習してもらった。

練習用のドリルが切れなくて申し訳なく、苦労するが、プレート固定の可能性を感じていただけたと思う。

練習は、教えるほうにもとても勉強になる。

私たちもスキルアップしていかなければならないのだから。

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もう季節はずれになってしまったムクゲ。

来年はもっと早くから咲いてくれると良いのだが。

 



4 コメント

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>はとぽっけさん (hig)
2018-10-05 05:02:24
もう後戻りはしないでしょうし、できないでしょう。すでに獣医療の恩恵は感じてもらっているはずです。
この実習の贅沢さを感じてもらえると良いのですが。
牛の診療はほとんどが寡占状態で行われています。今は、それが無医村化しつつある地域もあります。新しい技術を先を争って取り入れる、という状況にはないのです。


ムクゲってあまり好きではなかったのですが、見直しました。
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>M木先生 (hig)
2018-10-05 04:55:38
いそがしい時季ではなく、開腹手術もなく、申し訳ないくらいでした。その分、骨折内固定の練習会をすることができました。
研修の先生たちが日頃の診療に生かせるものが何かあったのなら幸いです。
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Unknown (はとぽっけ)
2018-10-04 19:08:40
 術後の代謝性アシドーシス、致死率高そう。馬は手術したら死ぬかもしれないし、勝てないから、という時代に逆行したら大変。
 「骨折の用意」大変そう、なんだが贅沢な実習のようですが、子牛も治してもらえるようだといいな。
 雨上がり、葉もお花もきれいに撮ってもらって幸せそう。来年は一回り大きくなって長い期間咲いてくれるといいですね。
 わんこのむく毛も好ましく思える朝夕の冷え具合。
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ありがとうございます (M木)
2018-10-04 08:46:04
お忙しい中でのご対応に感謝申し上げます。
ありがとうございます。
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