伝貧検査は採血も大仕事だったのだが、家畜保健所では持ち帰った血液を血清(凝固した血液の上澄み)分離して検査していた。
これは、ゲル内沈降反応という方法で、馬伝染性貧血を引き起こすウィルスに対する抗体を検出する。
それ以前は、担鉄細胞と呼ばれる細胞で伝貧ウィルスの感染を判定していて、その時代にはずいぶん間違いもあったようだ。
今はゲル沈よりも迅速に検査できるELISAも応用されているが、もう伝貧ウィルスの感染自体が日本ではまず起こらない状況になった。
担鉄細胞、ゲル沈による摘発淘汰が清浄化につながったのだ。
伝貧検査で伝貧ウィルスの感染を疑われた馬を隠して逃がしたとか、治そうとした獣医師が居るとか、実話もふくめて逸話が残っている。
しかし、手抜きや、単なるミスは別にして、その時代にはその時代に最良と思われる方法でその感染症の抑圧に向けて努力するしかない。
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今、牛白血病の蔓延が問題になっている。
牛白血病ウィルスに感染してもすべての牛が発症するのではないだろうと考えられている。
発病要因を持つ牛だけが発病するのだから、牛白血病ウィルスに感染したことがあるというだけで淘汰するのは可哀想ではないかという意見もあるようだ。
しかし、現在、牛白血病の蔓延を抑える方法が摘発淘汰しかないなら、そうするよりないのではないか。
イギリスやスウェーデンやデンマークのように、かつての馬伝染性貧血のように、国レベルで摘発淘汰を進めるべきところへ来ていると思う。
牛白血病を発症する牛はこの10年あまりで10倍に増えた。
牛白血病ウィルスに感染する牛が激増しているのだろう。
摘発淘汰しか抑圧や清浄化に向けた方法がないとしても、抗体陽性率が全体で何割にもなってしまったら摘発淘汰もできなくなる。
猶予はない。と私は思う。
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後の馬「そっちの方が美味しそうだな~(?_?;)ジロ」
又場違いですみませんm(__)m
昼夜放牧されている馬たちを見ていると面白いです。夜が明けると集まって座り込んだり、寝ています。ひとなつっこくもなるようです。