馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

術創感染を減らす方法 1

2010-10-23 | その他外科

Equine Surgery 1st ed.にはペンシルバニア大学のDr.Orsiniが書かれた「術創感染と抗生物質による予防」の章があった。

残念ながら、以降のed.では無くなってしまった。

Surgical Techniques to Reduce Infection 「感染を減らすための外科技術」と題され、箇条書きにされた17項目は良い記述だと思う。

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1. 可能なら手術前に離れた部位の感染を治療する。体の他の部分に感染があると術創感染が3-4倍起こり易くなる。

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 これにはいろいろな状況と要因が考えられる。

 感染巣を持っていると、その馬の免疫や炎症反応は乱されていて、新たな外科侵襲に耐え難いのかもしれない。

 感染巣から血行性に感染が飛び火することもあり得るのかもしれない。

 手術室には衛生的な状態で入れるのが望ましいが、感染巣を持っていると馬自体が感染源になりうる。

 術創の近くや、あるいは離れた部位に、感染した傷があることは良くある。その傷の性質によって、覆ってしまったり、洗浄・消毒したり、別箇に治療しなければならなかったりする。

私のところは術野の準備も麻酔も手術室で行うことは何もかも獣医師がやっているので、その点ではそのときどきの状況に合わせた対応をしやすい。

これが獣医師以外の人に任せている手術室だと、マニュアル化しなければならないだろうし、別な部位に感染巣があるような場合はマニュアルどおりにいかないことがあるだろう。

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4 コメント

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綺麗ですね~~~ (sutemaru)
2010-10-24 03:02:36
綺麗ですね~~~
昨日も用で長野を日帰りしましたが、運転中に紅葉の話が出ました。
まだまだこちらは綺麗な紅葉はありませんでした。
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ほんとうに綺麗ですねえ。逆光で透けている葉っぱ... (nemobaba)
2010-10-24 06:23:11
ほんとうに綺麗ですねえ。逆光で透けている葉っぱやその葉っぱに映る陰がいい・・。
金曜日に浦河から戻りましたが、まだそちらも紅葉が遅れていましたが、あれから冷え込みが続いているんですね。
最近の感染の話は懐かしく拝見しています。過日の馬の剃毛の話も面白かったです。
いま、私は認知症のお年寄りの2つのグループホームをお手伝いしていますが、これからはインフルエンザや風邪、ノロウイルスの感染予防に気を使っています。ここのお年よりは皆さんお元気です。しっかり食事の管理が出来ているからかなと思います。
馬の爪の治療もhig先生がよく取り上げて折られますが、人の爪の管理も大切だなあと実感してます。ここGHでは、足の爪きりはどうしてかナースの仕事になっています。足の爪が変形したり、爪白癬で壊してしまっている方がいますので、介護士の皆さんは怖がって敬遠しています。
綺麗なもみじの写真に目を奪われて、余分な話までしてしまいました。では、これで。
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>sutemaruさん (hig)
2010-10-24 06:43:11
>sutemaruさん
 紅葉はまだなんですね。こちらは山間まで降りてきたところでしょうか。今年はあまり綺麗な年ではないようです。その分、キノコがどっさり採れるようです。
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>nemobabaさん (hig)
2010-10-24 06:52:01
>nemobabaさん
 セリのお手伝いお疲れ様でした。本当に今年は紅葉も遅いです。

 感染の話に興味を持っていただいてありがとうございます。馬の獣医療はずいぶん人医療から学んでいます。取り入れていかなければいけないところと、そのまま応用できないところ、そして、轍を踏んではいけないところもあります。
 私達、生産地の馬医者は患者の若さに助けられていますね。
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