馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

小結腸腸間膜ヘルニア

2016-04-10 | 急性腹症

朝、繁殖雌馬の疝痛の来院。

転がりまわるほど痛いわけではないが、疝痛が続いている。

小腸が膨満しているのが、超音波と直腸検査で判明した。

朝5時に疝痛を発見したが、その前から痛がっていたようすだった、とのこと。

すでに3時間以上続いている・・・・血液所見は悪くはないが・・・・

「開けましょう。小腸捻転じゃなくて、腸間膜の孔とか、網嚢孔とかへ入り込んだんじゃないかと思いますよ。」

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分娩1ヶ月後なのだが、仰向けにするとけっこう腹囲膨満している。

小腸も扱うのがたいへんなほど完全膨満している。

開腹して良かった。

小腸を切開して内容を捨てた。

回腸が、小結腸腸間膜の5cmほどの裂孔をくぐっていた。

大結腸を切開して内容を捨てる。腹腔をできるだけ空にして、小結腸腸間膜基部に近い部分の裂孔を縫って閉じたい。

私も手洗いしてワンポイントリリーフするが、1糸かけて縫うのが精一杯で、完全には縫えない。腹腔の底で見えない。

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絞扼されていた回腸の様子はかなり回復した。

色調は回復してほぼ健康なピンク。

点状出血は融合して斑状に広がっているが、暗色の部位はない。

腸管に括れた部分もない。

指ではじくと収縮もする。

Freeman先生のグレーディングで言えば、Grade2。

温存しても大丈夫だろう、と判断した。

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午後、血液検査。

分娩後2時間で貧血が始まり死んでしまった12歳の繁殖雌馬の剖検。

子宮動脈破裂だった。

2歳育成馬の跛行診断とx線撮影。

腕節に小さな骨嚢胞を見つけたが、跛行の原因かどうかはわからない。

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三寒四温。

少しずつ緑になってきたネ~

                    

                     

 

 

                        

 

 

 


4 コメント

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Unknown (piebald)
2016-04-10 19:09:19
1枚目の写真。これでも小腸と言うんですね。人の手が小さく感じます。

もうちょっと、ゆっくり暖かくなって欲しい気がします。
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Unknown (はとぽっけ)
2016-04-10 20:21:29
 開腹して、どんな色調の腸管が現れるか、的中率はどれくらいでしょ?今回も、回復が見込めそうでよかったですね。
 オラ君、景色に溶け込んでますね。
 生物季節観察、今年は燕とモンシロチョウと梅と鶯、いっぺんでした。日ごろ、観察していないので。 
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>piebaldさん (hig)
2016-04-11 05:38:07
成馬の小腸が全域で太く重くなると扱うのもたいへんです。

ゆっくり暖かく、というのはそのあとに猛暑が待っているからでしょうか?
北海道では、緑と花と、ポカポカ陽気が待ち遠しいです;笑。
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>はとぽっけさん (hig)
2016-04-11 05:42:01
術前の血液検査と、発症から開腹までの時間でかなり予測がついている気がします。ただ、もっとも意識を集中しているのは、開腹手術適応かどうかなんですよね。あとのことは開けてみてからですから。

ゴールデンは、保護色なんじゃないかと思います;笑。
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