馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

新生子牛の脛骨骨折おまけに下顎骨折も part2

2021-02-14 | 牛、ウシ、丑

見てないうちに生まれていて、脛骨と下顎骨が折れていた新生子牛。

手術台で仰臥にし、左後肢はホイストで吊り下げている。

脛骨稜上の皮膚を切開する。

骨折部はこのように骨膜が剥がれて皮質骨がむき出しになっていることが多い。

しかし、どんどん骨膜を骨から剥がしてはいけない。

骨膜は骨の成長や修復に重要な働きをするし、皮質骨に血液を供給している。

プレートは骨膜の上から骨に当てるのだ。

          ー

短斜骨折だし、新生子牛だし、骨折当日なので整復は容易。

しかし、骨折部にピースがあり、亀裂も伸びているのでlag screw で仮止めするのはあきらめた。

ナローDCPを当ててみる。

骨折部より遠位にできれば3本、有効なscrewを入れたい。

脛骨の断面は近位では三角形をしている。

それが、遠位では楕円形になっている。

全長にわたるプレートを入れるなら途中で捻る必要があるかもしれない。

遠位部、近位部には6.5mm海綿骨screwを入れた。

骨折部付近は有効なscrewを入れられなかった。

強度に不安があるので、キャストの併用も考えたが、新生子牛にフルリムキャストを巻くと自力で立てないだろう。

おまけにこの子牛は下顎も折れている。

全身状態や管理のことも考えてdouble plate固定してキャストは併用しないことにした。

2枚目のDCPを頭側に当てる。

double plate固定は特有の注意が要る。

先のプレートスクリューに当たらないようにドリリングしなければならない。

異物の量が増えるので感染にも十分な注意が必要。

傷の閉じ方も慎重にしなければならない。

さて、この子牛、おまけに下顎も折れている。

そっちもなんとかしなければならない・・・・・

この新生子牛を助けられるのか?

(つづく)

             /////////////////

持ち込まれた〇液の検査。

種畜登録するのに〇液性状の検査が必要。

この季節だけに行われる。

しかし、季節初めで初めて射◎された○液は性状はよろしくないことが多い。

おまけにゴミだらけだったりする。

〇〇〇も汚れているからね。

                  -

2/15 オンライン講習会が近づいてきた。

西日本馬カンファレンスも同日だ。

オンラインって忘れがちだよね。

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地震、ひどかったようだ。

大丈夫だったでしょうか・・・・お見舞い申し上げます

 

 

 

 

 



4 コメント

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Unknown (はとぽっけ)
2021-02-14 08:19:35
しなやかで柔らかい印象が痛々しくもあり、治癒への好条件のようでもあり。
 素人目にも美しい仕事っぷりですね。少しはみ出しぎみのスクリューはあったかも?
 次は顎かな。ドキドキ。
 
 また相馬あたりが。津波と強い冷え込みがないのがせめてもの。今日は晴れ。
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>はとぽっけさん (hig)
2021-02-14 20:12:20
6.5mm海綿骨スクリューは5mmごとしか長さがありません。確実に対側皮質を貫く選択は悪いことではないと考えています。

今回は夜中でした。私は寝ていて目が覚めませんでした;笑
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Unknown (zebra)
2021-02-17 06:28:39
種畜検査以前?に性状判定される理由はどのようなところにメリットがあるからなのでしょう。
いずれにしましても素人のやることではありませんね。ご苦労様です。

だいぶ雪溶けてから揺れたのでまだマシだったのでしょうけれども、一斉に落雪したら一大事だったと思います。
日中雪下ろしで上がっていたら一緒に落ちて見つからないでしょうね。
北海道は雪落ちる屋根構造ではないと思いますが、中途半端な地域は色々起きます。
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>zebraさん (hig)
2021-02-17 20:55:59
種畜として営業させる以上は受胎しないなどということがないように、ということなんでしょう。保証ではないのですけどね。

雪にも風にも地震にも瓦屋根は弱いのだと思います。北海道はトタン屋根が多かったのですが、最近は無落雪の屋根なし箱型住宅が多いです。
地震で潰れる、屋根が飛ぶ、雪で雨漏りする、なんて人生の中で経験したくないものです。
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