真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
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駄楽ひまなときブログ
行きつけのお店のブログ、下戸なのに。しかも閉めたんだけどね
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友松直之監督のブログ、激しくエモーショナル
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そのまんまです
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福岡市在住のピンクス。ピンクスとは、ピンク映画愛好の士、を意味する造語である。
仮名遣ひは正仮名を使用。
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愛欲みだれ妻/ビデオマーケット戦
あ行
/
2023年03月13日
「
愛欲みだれ妻
」(1999/製作:国映株式会社/配給:新東宝映画/監督:今岡信治/脚本:今岡信治/企画:朝倉大介/撮影:鈴木一博/撮影助手:岡宮裕/助監督:小泉剛・吉田修/編集:酒井正次/録音:シネ・キャビン/現像:東映化学/制作応援:小林康宏・大西裕・榎本敏郎/協力:カラオケルーム・タラ/出演:田中要次・諏訪光代・麻丘珠里・永井健・吉沢一子・飯田考男)。監督と脚本の別立ては、簡素に過ぎるきらひも否めない本篇クレジットに従つた。
配信動画の塩梅によるものなのかも知れないが、いきなり女が泣いてゐる、ブツッとか音の聞こえて来さうなぞんざいな開巻。早くも匙を投げさうになる無闇に安定しないカメラは、チャリンコを漕ぐ女を追つてゐた。
相ッ変らず壮絶な画質
にも火に油を注がれ、誰が何処にゐるのか暫し判然としかねる、主に珠瑠美の繰り出す荒業・ロンゲストフェードにも似た無間のパンを長く回したのち、治子(諏訪)は行き倒れた飯田考男を見つける。ガソリン切れにつき動けない、と称する飯田考男を治子はスタンド―ノンクレで女の店員が一人見切れる―に連れて行き、スチームパンクみのある尻の給油口から給油、多分金は払はずに。回復すると肌が青銅色になつたキン(飯田)曰く、自らは地下の工場にて製造後一旦処理された、人造人間であるとのこと。謝礼を辞しその場で別れた治子に手を振るキンの、ブロンズの掌にタイトル・イン、は非常に洒落てゐたのに。飯田考男に音読させるのは蛇に生やした足、字ぐらゐ読めんだろ、さういふ観客を信頼するか突き放した態度が、映画のスマートさの肝なのではなからうか。
元気を装ひ治子が帰宅すると、とかく歩行の不安定な夫の光夫(田中)が勝手にスッ転んでゐたりする、要は全篇を象徴か支配する居た堪れない体たらく。こゝが今作最大といへば最大の謎なのが、各所イントロには治子が子供を産めないとされてゐるものの、あくまで劇中に於いては子宮内膜症であつた旨のみ、治子は光夫に報告する。
配役残り、麻丘珠里は消火器で玄関の突破を試みてゐると治子が帰つて来る、光夫の浮気相手・あきこ。大概な危機はポケットの中にあつた無料券の当選、だなどとへべれけな方便で、治子と二人でカラオケに行き表面上仲良くなる。何ていへばいゝのかな、不自然な映画しか撮れないのか。永井健は拾つた財布を普通に拝借しようとした治子と、追ひ駆けて来る形で出会ふ落とし主のセイガク・時男。吉沢一子は治子宅ですき焼きを振る舞はれつつ、泊まつて行くのは断じて御免蒙る時男が落ち合ふ加奈。多分時男のアパートにて、普通に関係を持つ仲。二人の後を尾ける治子を、商店街で擦れ違ひざまショルダータックル気味に突き飛ばす、小泉剛ぽい背格好に映る男がもう一人主だつたノンクレ部。
国映大戦
第四十八戦は、腹が立つほど詰まらなかつた今岡信治1999年第一作、通算第四作。話が終つて、しまつてもゐる。
オーソドックスあるいは在り来りな三角関係が、やがて四角関係に膨らみ、鶴ならぬアンドロイドの恩返しが絡まる。物語自体が面白くも何ともないのは、十万億歩譲るとしてさて措き、限りなく譲れてねえ。肉の付き方が絶妙な中年女をビリング頭に据ゑ、二番手三番手を若いカワイ子ちやんで固める。それなりに粒揃ひの、三本柱を擁した上で。俺―もしくは俺達―だつて撮らうと思へば撮れるんだぜ、とでもいはんばかりに。殊にベッドを這ふカメラワークが見事な、麻丘珠里と田中要次の一回戦を筆頭に絡みは何れも高い水準の正攻法を、展開してゐながら。ことごとく愕然とさせられるほどのド中途で、端折つてみせる裸映画を虚仮にした態度が逆鱗を激弾き。ナメてんのか今岡信治と怒髪冠を衝きかけつつ、それでゐてこの御仁が不思議でもあるのが、フと振り返ると「れいこゐるか」では別に女の裸をウリにする必要がある訳でもない割に、ガチ目の濡れ場を放り込んでみせたりもする辺り。加奈と致す時男のアパート階下の往来から、治子が光夫から求婚され受諾した過去を想起する件。全体何を考へてゐるのか何も考へてゐなかつたのか、在りし日の治子V.S.光夫戦を、劇中現在の加奈V.S.時男戦と同じ部屋で執り行ふものだから、関根和美ばりのノーモーション回想に、気づいた際には時間差で度肝を抜かれた。光夫と治子が、湖的なロケーションにデート。ところが治子が小用を催したため、恐らく野ションの場を探す二人がフレームから外れると、銘々のポラに名前を書いた、何故か筆致から荒木太郎ライクなクレジットが起動する。屁のやうなラストが逆の意味で完璧な、アグレッシブに酷い一作。恐々調べてみたけれど、流石に当年のPGピンク映画ベストテンには入つてゐなくて心から安堵した。
治子と光夫が、ともに挙動の半数以上が奇行で構成された似た者夫婦。一度は時男に連れて行つて貰つたバー、時男と加奈が二人の時間を楽しむボックス席に、治子が半笑ひでカウンターからミックスナッツを戯れに投げる今でいふ迷惑系シークエンス。店の人間に、治子が半殺しにされ摘み出されるのがあるべきカタルシスではないかと当サイトは思ふものだが、今岡信治は、そんなに観る者見る者の神経を逆撫でするのが楽しいか。
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