真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
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福岡市在住のピンクス。ピンクスとは、ピンク映画愛好の士、を意味する造語である。
仮名遣ひは正仮名を使用。
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禁断 制服の悶え
は行
/
2018年04月19日
「
禁断 制服の悶え
」(昭和51/製作:日活株式会社/監督:林功/脚本:久保田圭司/プロデューサー:伊藤亮爾/撮影:竹内茂三/照明:川島晴雄/録音:秋山一三/美術:柳生一夫/編集:鍋島惇/音楽:畠山明博/助監督:高橋芳郎/色彩計測:村田米造/現像:東洋現像所/製作担当者:天野勝正/出演:東てる美・珠瑠美・鶴岡修・五條博・影山英俊・南寿美子・雪丘恵介・小林亘・三川裕之・言問季里子・堺美紀子・水木京一・小見山玉樹・中平哲仟・池田誉・田畑善彦)。出演者中、妙にビリングの高い小林亘と、水木京一以降は本篇クレジットのみ。各種資料に見られる企画の奥村幸士が、例によつて本篇クレジットには見当たらず。クレジットはスッ飛ばす配給に関しては、事実上“提供:Xces Film”。
壮大な雪山のロングと、特撮には見えない雪崩ショット。流石に幾らロマポといへど、本格的な特殊撮影を敢行する袖はなからうが。ラジオを聞きながらぼんやり勉強中の女子高生・雨宮冴子(東)は、谷川岳一ノ倉沢で雪崩が発生、登山中の城南大学山岳部が被害に遭つたといふ臨時ニュースに血相を変へる。冴子の机上には当の城南大学山岳部、略してジョナサンの従兄・藤山保(鶴岡)のスナップが。冴子の母・奈々江(南)の姉・伸子(堺)の息子である保は近所なのか、元々は雨宮家からジョナ大に通つてゐたものだが、双方の親がひとつ屋根の下の若い男女の仲を危ぶみ、保は一人暮らしさせられてゐた。保発見の報に、冴子が喜びを爆発させ関係者控室から雪の中に再度飛び出す五分半、若干遅めのタイトル・イン。ところでクレジット中も、東てる美が雪中を走り回らせられる何気なブルータル。仲間を喪ひ、自身も左手に凍傷を負ひつつも、自力で下山した保は保護、帰京し何とか中央病院に入院する。邪魔臭い伯母が帰つたのを見計らひ一旦見舞ひ、に来たといふのに手篭めにされかけた冴子は、その夜再び保を訪ねる。ところがちやうどその時病院を脱け出す保に冴子がタクシーに飛び乗りついて行くと、一人暮らし以来生活が荒れてゐるとかいふ保が向かつた先は、女が金で男を買ふホストクラブだつた。
配役残りみんなのコミタマこと小見山玉樹は、遭難したジョナサンの救助に向かふ救助隊第三パーティのリーダー。コミタマと無線で遣り取りする無闇に無頼な本部の面々が、昔日の映画人にしか見えない。雪丘恵介は、保の父・誠一。軽い気持ちで調べてみて撮影当時二十七といふ年齢に、二十七!?と目を疑ふ爛熟したマダムぶりを爆裂させる珠瑠美と、凡そ影山英俊とは思へないほど尺を喰ふ、といふか鶴岡修も押し退け男優部主役の影山英俊は、ホストクラブの常連客・三井美紀と、保に美紀をカッ浚はれた格好のホスト・南知也。五條博と言問季里子は、南がマンションの一室を今でいふシェアするホストの先輩格・城野と、南が冴子を自宅に招いた際に、ジョーノが連れ込んでゐた客・片山夫人、三川裕之は冴子の父・英夫。小林亘と水木京一は、南が美紀を犯させる浮浪者、太三て平成の水木京一だね。池田誉と田畑善彦は、南と行動をともにする冴子を、誘拐事件の被害者として捜索する刑事。問題が見切れて視認出来ない訳でなければ、あの圧力の高い強面に気づかない筈がない中平哲仟が、何処に出てゐたのかどうしても判らない。
レギュラーを張り五十本弱発表したロマポの終焉後は、早志宏二名義で二本と、林功に戻して三本ピンクも撮つてゐた林功の昭和51年第二作。と、いふよりも。それまでの若手女優部の一角から、東てる美がブレイクした一作といふ評価が歴史的にはより相当らしい。確かに、一旦保の病室を覗いたところ、憎つくき伸子が来てゐるのに冴子が舌打ち気味に唇を軽く歪めてみせる表情は、四十有余年の時を超えて一撃必殺の魅力を琴線に叩き込む。反面、アズテルと影英とコミタマは少なくとも連れて行つた雪山ロケをも行つてゐる割に、無造作と紙一重の呆気なく無体な結末に不時着する大雑把な展開は、これといはうがいふまいが別に面白くも何ともない。林功を観るなり見るのはロマポとキャリア最晩年のピンク僅か各二作づつでしかないものの、どうもピンと来るものがない。
見る影もないピンク最終作
も過去には有してゐた輝きが失はれたといふよりも、寧ろ元々ロマポ普請の下駄を履いてゐただけのやうにも思へる。
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