思い出は、どんな小さなかけらも拾いあつめ、
きちんと重ねて蓋の内側にしまっておく。
楽しいものは上のほうに、悲しいものは下に。
それはみんな、やがてひとつに溶けあって、
ピアノの音を美しくしてくれるものたちだ。
「秋のソナタ」(「木苺通信」より)
思い出は、どんな小さなかけらも拾いあつめ、
きちんと重ねて蓋の内側にしまっておく。
楽しいものは上のほうに、悲しいものは下に。
それはみんな、やがてひとつに溶けあって、
ピアノの音を美しくしてくれるものたちだ。
「秋のソナタ」(「木苺通信」より)
昨年秋に、猫の茶々姫ことチャケを見送りました。
12歳。まだ高齢という年ではありませんでした。
点滴での延命は選ばず、自宅で看取りました。
闘病中のお友達がいたので、お知らせすることを控え、
元気なときの写真をのせ、何事もなかったようにしてきましたが、
先週、そのお友達の訃報がとどきました。
ピアノ弾きの音夢鈴(ねむりん)さん。
出会ったのは、18年前。
当時小学生だったお嬢さんの「サンタさんへの手紙」を
送って下さったのがきっかけでした。
<親愛なるサンタさんへ。黒ねこサンゴロウの続きをください>
その手紙が背中を押してくれなかったら、「サンゴロウの続き」つまり
「ドルフィン・エクスプレス」シリーズは世に出なかったかもしれません。
(サンタさんには6年間も待ってもらいましたが!)
お手紙のやりとりから、ブログ、メールに移り、
「猫友さん」としても、楽しいおつきあいをさせていただきました。
お忙しい方なのに、いつもいつも、打てば響くように返信をくださって・・
面白いものをみつけては「みてみて!」と子どものようにはしゃいだり、
興味をもったらとことん調べたい性格もどこか似ていて、
リンクをどっさり貼ったスクラップ帳のような長文メールが
昼夜をとわず行ったり来たりすることもたびたびでした。
ミュージカル「野原のワルツ」「君のいた夏」の上演。
わたしの詞に曲をつけてくださったこと。
ピアノやハープで弾き語りをしてくださったこと。
音楽だけでなく、演劇や伝統芸能、いろんな分野にお詳しくて、
教えていただいたことがたくさんあります。
音夢鈴さんが愛情をこめて「ヴォルフィー」と呼んでいた
少年時代のモーツァルトの話、絵本にしませんかとお誘いして、
年明けから本格的に動き出そうとしていたところでした。
「ちいさなおはなしやさんのおはなし」も音楽物語にしたいと・・
黒ねこサンゴロウの20周年記念のことも・・
楽しみなつぼみがいくつもふくらみかけていた矢先。
才能と、情熱と、行動力と、あたたかい心の持ち主、
かけがえのないお友達を、こんなに早く失うことになるなんて。
月を見ても、雲を見ても、思い出します。
何事もなかったように、ひょっこりメールが来たり、しそうです。
ああ、これ書いたら音夢鈴さん喜びそう・・と思い、
そうか、喜んでくれる音夢鈴さんはもういないんだ・・と思うと、
ほんとうに悲しくて、残念でなりません。
音夢鈴さん、これまで、たくさん、ありがとう。
「ジュエルの満月」を見届けてから旅立たれたのですね。
いつか再会できたら、また「おはなし」と「おうた」で遊びましょう。
(どこかそのあたりで、コーヒーデニッシュ色のグルメな猫が
退屈そうにしていたら、ちょいとかまってやってくださいね!)
これまでに閑猫堂でご紹介しました動画を
ここにまとめておきます。
「クリスマスのかね」2009.12.25
「おてつだいねこのこもりうた・あくびバージョン」2012.11.10
「クリスマスのかね・トイピアノバージョン」 「ジュエルソング」2012.12.24