またまたわけあって古本をあさっているうちに、
またまた関係ないところに目がとまる。
アンデルセン作「魔法破」(まほうやぶり)という本。
明治40年の出版。
はて、アンデルセンにそんな話あったっけ?と
しばらくじーっと見ているうちに、これはどうやら
「旅の道づれ」という話だなとわかりました。
若者が冒険に出かけ、無理難題を解決してお姫様と結婚するという・・
アンデルセンの中では初期の民話色の濃い物語。
訳者は雨谷石燕という人。鳥山石燕とは関係ないです。
主人公の「ヨハンネス」が「ジョン」になっているので、
もしかしたら英語版から訳されたのかもしれない。
「洗礼を受けた教会」が「度々説法を聞きに来た寺」になるなど、
いかにも明治時代らしい翻訳(と挿絵)が楽しいのですが、
閑猫が手を叩いて喜んだのは以下のくだり。
(一部文字を読みやすいように直してあります)
その旅籠屋の十五畳もあらうといふ広間に大勢の客が寄り集って、
これから人形芝居が始る処だといふのでジョンもその連れと二人で
ソコソコ夕飯を仕舞って大勢の中へ割込んで見て居ると、
やがて怪し気なボコンボコンといふ三味線の音がして
口上によると本朝廿四孝十種香の段といふので、
幕が開くと程なく八重垣姫も出れば勝頼さんも出て来る……
うわわ、畳か? 三味線に八重垣姫? 勝頼さんて誰?
ココハドコ??
現代とくらべて一文がずいぶん長いですが、これは講談のスタイルなのか、
合間に「ぱぱんぱん!」と張り扇の音が入りそう。
物語というのは、書いて字の如く、物を語るのだな、と
あらためて思ったことでした。
しかし、ジョン君、よくそんなお姫様を嫁にもらう気になるよね。
ということを含めて、もともと突っ込みどころの多すぎる話ではありますが。
全部読んでみたい方は、
国立国会図書館の「近代デジタルライブラリー」へどうぞ。
http://kindai.ndl.go.jp/
本日の「いいね!」
佐賀のおみやげの土鈴。
食堂のおばさんっぽい馬と、覆面レスラーみたいな鶏さん。