閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

正体不明

2019-09-20 00:22:16 | 日々

台風のあとの3、4日は、鳥が早朝からよくさえずっていた。
シジュウカラ、イカル、ヒヨドリなど、春のように本格的ではなく、ちょっと試してみる、という鳴き方だが、秋にこんなに聞くのは珍しい気がする。
もしかしたら、日ざしとか気温とか、春と錯覚するような条件がたまたまそろったのだろうか。

その中に、ひときわ大きな声で鳴く鳥がいて、それが何だかわからない。
変化の多い複雑な節回しで、文字であらわすのが難しいけれど、あえて「聞きなし」を書くとすれば、

「にじゅうに? にじゅうし? にじゅうはち?」とか、
「すいぎょうまつ、うんらいまつ」とか、
「ドリームジャンボ宝くじ」とか、
「We don't need it !」とか…(笑)

声が大きくて何だかわからない鳥は、ガビチョウであることが多いので、今回も「ああ、ガビちゃんだよ」と言っていたら、西のヒノキ林から庭の山桜に飛んできた。

枝の一か所に落ち着き、あまり動き回らず、ときおりクチュクチュと小声で何か言っている。
あれ? ガビ、じゃない。
ガビチョウの特徴の白いアイリングがないし、体型が違う。くちばしがすっととがっている。
胸に斑点が見えたので、このあいだ窓に衝突したのと同じオオルリの若鳥ではないかと思い、翼の青い色を見ればわかるのだが、あいにく逆光だし、遠いし、ずっとこっちにおなかを向けているので確かめられない。

 

右の子を見ているうちに、いつのまにか左奥にもう1羽来ていた。どうもオオルリよりは太めで大きい感じ。
「ヒヨドリじゃないの?」とMが言う。
うーん、形も大きさも、ヒヨドリに似ているけれど、ヒヨさんはこんな声で鳴くかなあ。
それに、ヒヨドリはけっこう警戒心が強い鳥なので、この距離でカメラを向けると絶対逃げるはず。
この子は、非常にのんびりおっとりしていて、全然逃げないのが不思議なくらいだ。

 

翌日もまた同じ木に来たので、めいっぱいズームで撮って拡大してみた。
あれえ? 胸のウロコ模様が、ヒヨドリとは違うような…

 

えーと、このカオ、どっかで見たような…

と、さんざん首をひねるうちに、やっと疑問が解けた。
ヒヨドリはヒヨドリでも、ヒヨドリの親戚ではない、イソヒヨドリ、でした。通称イソピー(←と呼ぶのはうちだけ?)ね。
名前に「磯」とつくものの、海辺だけでなく、意外と山間部にもいる鳥だ。5月ごろには、町なかでも電柱や看板のてっぺんなどでよく鳴いている。そのときだったら声だけでも確実にわかる自信があるのに、場所と季節が違うせいで、まったく思いつきもしなかったとは。
(若いオスは地味な色で、繁殖期の成鳥オスとは別種のように見える。上の写真は若オスなのかメスなのか不明です)

イソピーズは全部で5羽いて、親子なのか、そうではないのか、あっちとこっちでさえずり合ったり、追いかけっこをしたり、しばらくにぎやかにしていたけれど、そのうちぱたっと声が聞こえなくなった。
冬は霜のおりない海の近くで暮らすのかもしれない。

 

さて、もうひとつ、植物の正体不明が、こちら。
庭の花壇の隅に、いつのまにかひっそり生えていた。
丈は現在10センチあまり。草のようでもあり、これから育って木になるようでもあり。
茎も葉もややかたく、しっかりしている。葉は互生で、長いものは3センチほど。特に香りなどはない。

特徴は、この…花?
薄緑の丸くてひらたいものを、最初はつぼみかなと思って観察していたが、どうもこれは実のようだ。
その横にくちゅくちゅとついている小さいのがたぶん花で、花のようには見えないけれど、これで咲いている、のかな?

あたりを見ても同じ植物は見あたらないし、これまでに見た記憶もない。地味すぎて見落としていたかもしれない。
もう3日も調べているけれど、何にも似ていないので、手がかりがなさすぎ、どこを調べたらいいかわからない。
しかたがないので、植物図鑑を端から1ぺージずつめくってみているが、「これは違う」というのをどんどん除外していっても、「これだ」というのが出てこない。
(木とか、野菜とか、外国産の園芸植物とか、みーんなまぜこぜに入っている植物図鑑というのは、こういうときちょっと不便ですね)
どなたかご存じの方がおられましたら教えてください。

<2020.5.24追記>
そのあと、冬の間は姿を消し、春にまた出てきて、花が咲いたのを見たら、なんと、ヒメハギでした。
そういえば春以外の季節のヒメハギって、これまで見たことがなかった。葉や茎の色も、春とはかなり雰囲気が違うので、「ヒメハギ、ではないよなー」と最初から除外してしまっていた。いくら調べても出てこないわけだ。
上記の「くちゅくちゅついている小さいの」は「閉鎖花」といって、それも実になるとのこと。

 

庭は、もと畑だった土と、空き地だった土と、山の崖を削った土が混ざってできている。
つまり、畑っぽい雑草と、空き地っぽい雑草と、崖っぽい雑草が、とりあえず全部生える、ということだ。
春、家の周囲に見慣れない草がたくさん生えた。明るい黄緑の葉には、ちょっとティートリーに似た独特な匂いがあり、柔らかい草なのだが、さかんに枝分かれしてみるみる巨大化していく。
どうなるかと様子を見ているうちに、高さ80センチくらいになってしまい、そこでやっと図鑑を開いた。
茎は太いが、すかすかしている。何に似ているかと考えると、思い浮かぶのはトウの立ったほうれん草だ。ほうれん草ならアカザの仲間。そうそう、1本が分かれて巨大になるところがアカザっぽい。
と、手がかりをたどって、行き着いたのは、ケアリタソウ(毛有田草)という南米原産の帰化植物だった。
工事中に重機やトラックが出入りした場所なので、どこかの河川敷か残土処理場のようなところから種がついてきたんじゃないかと思う。
花がきれいとか何かに使えるとかいうこともなさそうだし、こういう大柄な草がバクハツ的に増えるとあとあと大変なので、名前がわかったところで、きれいさっぱり抜き捨ててしまった。
しかし「ケアリタソウ」がちっとも覚えられない。
「なんだっけ」と思うと、そのたびにアカザからいちいち調べ直している。

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