閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

夏椿

2010-05-30 13:25:12 | 日々
夏椿が咲いたのに気がつかない。
草の上にぽたぽたと落ちているのを見て、初めて気づく。
この花は、いつもそうだ。
桜のように、咲き終えて一斉に散るのではなく、
咲くはしから落ち、つぎつぎ咲いていく。

見上げても、葉かげの花は逆光でよく見えない。
やや遠目に見下ろせるような場所にでも植えなければ、
観賞しにくい花である。

落ちた花を手にとると、いかにも初夏にふさわしい、
涼しげな色かたちをしている。
濃い香りも持たず、おとなしげだが、決して地味ではない。
これが着物なら、おそらく高価なものだろう。
さりげなく着こなして、ひけらかすそぶりも見せない。
よく見ると花びらのふちにフリルがあり、
ほんのり紅もさしていて綺麗だ。

落ちて初めて気づき、見上げてもよく見えない。
これは、そういうところを楽しむ花なのかもしれない。
というより、そういう形の自己表現をする花なのだ。
奥ゆかしい、というのとは少し違う。
まわりくどい、といってしまうと身も蓋もない。
ぴったりの形容がなかなかみつからないが、
こういう人って、いると思う。
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