お昼前、隣の山でカラコロと鈴の音。
うちの猫の鈴とは違う、カウベルのような鈴。
猟犬が来ている、とすぐわかる。
11月15日。狩猟解禁の初日。
急に猟犬が激しく吠える声。
うちの猫が外にいたら危ないな。
と思って玄関から出たとたん、すぐそばで、ぱあんと銃声。
とびあがったくらい大きな音。すごく近い。
ちょっと間をおいて、2発目、すぐ続けて3発目。
家のすぐ裏の、川の向こう岸、ほんの数メートルのところに、
大きな猪が横だおしになって、もう動かなくて、
黒白ぶちの犬がしきりに噛みついていました。
あとから急斜面を滑り降りてきたハンターのおじさんは、
よしよしと犬をほめ、鎖でつなぎ、無線で仲間を呼んで、
さっさと手際よく猪を運んで行ってしまいました。
20年住んでいて、こんな近くでは初めてのこと。
うちの庭や畑をさんざん荒らした猪だ。
と思ってみても、うれしくない。
あとからゆっくりと怖くなり、それから悲しくなった。
あれは先月の半ばごろだったかな。
夕方、薄暗くなる5時ごろまで苺畑にいて、
「さあ、いのさんが出るから、帰るよ」と猫に言いながら、
立ち上がって、からん、とシャベルを置いたとたん、
川向こうの斜面を、ざざざざっ、と駆け上がっていく気配。
動物、重たい動物、それも1頭や2頭ではない数でした。
え、もうそこまで降りてきていたんだ、と驚いた。
…あの中に、いたかもしれない1頭。
夜になって、ハンターが謝りに来ました。
人家の近くで発砲してはいけないのに、
犬が猪にやられそうになって、あせって撃ってしまった
と言っていました。
猟期は2月15日までです。