閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

黒ラム

2009-11-04 09:46:20 | 日々
TPOに合わせて、というほど数があるわけでもないし、
よそゆき、といっても滅多によそへは行かないのですが、
その「よそゆき」のハンドバッグのうちのひとつ、
黒のラム革の、きわめて柔らかいポシェット風のもの…
これがまあ、たいそう手のかかる子で、
ちょっと放っておくとすぐにご機嫌が悪くなります。

温暖で多湿な土地柄。
しかも山の中で、木々にかこまれ、すぐそばには川もあるので、
どうしても家の隅々に湿気がたまります。
椎茸の栽培に適しているくらいだから、カビとか苔とかキノコとか、
そういう方々にはきわめて居心地の良い環境なのですね。
ここに引っ越して1年目、革装の辞書が丸ごとカビたのに
ショックを受け、革製品は一切持たないことに決めました。

でも、ある程度の年齢になると、やっぱり本革がいいなあ、と
たまに思ったりもするようになるわけで。
要するに、手入れさえ怠らなければいいのだ。
と、決心して、革製品もまたひとつふたつと増えました。

梅雨どきはもちろんのこと、真夏も、秋の長雨も油断できません。
冬場を除き、たびたびご機嫌伺いをして、無事を確かめ、
少しでも怪しい兆候があればすぐさま対処。
別にブランド品でも何でもないお手頃価格の品ばかりですが、
気に入って買ったもので、たぶん二度とめぐり会えないから、
少しでも長く使いたいと。

努力のかいあって「開けてびっくり」はさすがに減りました。
ところが、数年前に仲間入りした黒ラムちゃん。
この子はいわば虚弱体質で、通常のお世話では駄目なんであります。

からりと晴れたので、風をいれましょうと洋服だんすを開け、
念のためにバッグの戸棚も開けたら、あららら…。
みんな同じところに入れてあるのに、黒ラムちゃんだけ、
どうしてこんなにカビ君と仲良し?

ベランダに持ち出し、クリーナを薄くつけて慎重に拭いていると、
何やら妙に重くひっかかる手ごたえ。
見れば、共革の飾り房(シマウマのシッポ風)の先に、
さも嬉しそうに食いついている茶々姫が…。
あーあーまったくこれだからねーもうっ!

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