閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

「ちいさいいすのはなし」朗読

2021-09-20 20:15:59 | お知らせ(いろいろ)


絵本『ちいさいいすのはなし』(ハッピーオウル社 2006年)の朗読映像ができました。

<鈴木まもる 絵本と世界の鳥の巣展>(藤枝市郷土博物館文学館で9月26日まで開催中)に、この絵本の原画も出展されており、会場での朗読会で読んでいただく予定になっていました。あいにくコロナの緊急事態宣言で、関連イベントがすべて中止になってしまいましたので、かわりにYoutubeで、期間限定で公開ということになりました。
朗読は村上裕子さん、映像制作は又木克昌さんです。
↓↓↓↓↓

絵を読んで楽しむ 鈴木まもる 絵本の世界「ちいさい いすの はなし」

期間限定公開 2021年9月20日~10月21日
(この期間を過ぎると視聴できなくなりますので、お早めにどうぞ)

 


自分で言うのもナンですけど、この作品は朗読に向いていると思います。
絵本というのは、基本的に絵と文とで成り立っている世界ですが、その成り立ち方にはさまざまなタイプがあります。
たとえば、ページをめくると「あ!」とだけ書いてあり、何がどうして「あ!」なのかは、絵を見ればわかる…そういう絵本もあります。文字がひとつもなく、最初から最後まで、絵だけで物語が進行する絵本だってあります。
そこまで極端でなくても、絵で語られていることはわざわざ文で語らなくてよい、というのは、絵本づくりの常識のようなもの。入れられる文字の量には限りがありますし、だらだらと長くつづくと子どもは飽きてしまいますから、「絵を見たほうが早い」ところは文を省き、ここはどうしても言葉で言っておきたい、というポイントは残し、せりふや心情など「絵だけではわからない」ところに文字数を使う。そういうことはよくあります。
この『ちいさいいすのはなし』は、最初から「絵本」というより「読みもの」に近い書き方をしました。絵を想定せず、文章だけで完全な世界ができるように、目で読んで、耳で聴いてすべてが伝わるように、書いたわけです。その上で絵を描いてもらいました。そして、絵ができあがっても、文章はほとんど削りませんでした。
昔の絵本(わたしが子どものころ)は、こういう作り方が主流だったんだろうと思います。完成された「おはなし」が先にあり、それを場面割りして、絵をつけていくスタイル。画家さんが同時に文も書くようになり、「絵本作家」という呼び方ができてから、だんだん「あ!」みたいなのがふえてきたのかしら。
そういう意味で、この絵本は、わたしとしては思いきりクラシック、そして、満足度の高かった1冊。こういう仕事は、たびたびできるわけではないけれど、いつかまたできたらいいなと思います。

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