閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

「せんろはつづく まだつづく」大型絵本

2020-02-08 11:41:15 | お知らせ(新刊)

『せんろはつづく まだつづく』(金の星社 2009年)の「大きいの」ができました。

これは、ほんとに大きいの。一辺が50センチ、重さも3キロ近くあります。(右下が通常サイズ)
絵も文字もそのまま拡大されていて、別に一色刷りのテキストがついています。
このサイズだと、読み聞かせもひとりでは無理。ふたりで左右を持って、ひとりが読む、という感じかな。台に置いたほうが安定するでしょう。

前作の『せんろはつづく』も2010年に大型化(→これです)されており、今回が2冊目。
一般のご家庭では要らないものですが、お話し会などのイベントや保育現場で需要があるそうです。
中央にとじ目のない厚紙で丈夫にできています。

(猫はついていません)

わざわざこんな大きなものを作らなくても、プロジェクターで拡大して映せば簡単じゃん…と思われるかもしれませんが、本の画面と、投影された画像とでは、同じものでもやはり違うと思います。
人が手でページをめくってお話が進むということ。めくるときのほんの1秒か2秒の「間」に、次はどうなるのかな、何が出てくるのかな、と聴き手は想像をめぐらせる。もう何度も見て覚えている絵本でも、浮いたページの、その下にちらっとのぞいた次の色を見て、あ、あれだな、とわくわくしたりする。
めくったら夜が朝になっていたり、百年もの月日が過ぎ去ったりしていても、時間の経過は「めくる」動作と共に(ふわっと起こるかすかな風と共に)ページとページの隙間にきれいにたたみこまれ、違和感が残らない。絵本をつくる人は、そういうことを考えて場面割りをしています。
ぱっ、ぱっ、と瞬時に切り替わる画像には、その「間」がない。些細なことのようですが、これはとても大きな違いです。
大人を対象とした講演会などで、説明のために使用するのはいいとしても、小さい子ども相手にプロジェクタで「絵本の読み聞かせ」をするのを、わたしは良いと思いません。それは「絵本」ではなく、「画像の連続」にすぎないからです。
何よりも、本には実体がある。スクリーンの映像は終わるとあとかたもなく消えてしまうけれど、本は「おしまい」と閉じたあともちゃんとそこにある。始まりから終わりまで、きちんとつながっている。手をのばしてめくれば、誰でもその世界の進行役になれる。
おひざのぬくもりがテレビで代用できないのと同じように、せめて人生の初めの数年間は、なるべく実体のあるものにたくさん触れて育ってほしいと思っています。

コメント
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