閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

壇ノ浦

2013-11-25 21:18:01 | 日々

 

 

 

またまた古典。
ホップ、ステップで、着地したところは「平家物語」。
「一の谷」とか「屋島」とか、見覚えのある地名にひかれて、
ぱらぱらとあちこち拾い読みする。
あ、「扇の的」は知ってる。那須の与市ですね。
(教科書にものっていたけれど、それより前に石井桃子さんの
「ノンちゃん雲にのる」で会ったので、なんとなく親しみがあるのです)

 与市そのころ十八九なり。褐に、浅葱の錦をもって
 はた袖いろへたる直垂に、萌黄にほひの鎧着て、
 足白の太刀をはき、中黒の矢のその日のいくさに射残したるに、
 薄切斑に鷹の羽はぎまぜたるぬための鏑差し添えたり。
 二所籐の弓脇ばさみ、兜をぬいで高紐にかけ、
 御前にかしこまる。
 (平家物語 巻第十一 第百二句)

武骨なおじさんかと思っていたら、十八の若武者だ。
そう思って読めば、決勝でPKを蹴るサッカー選手のようにも見えてくる。
試合終了間際、敵も味方もかたずをのんで見守る中、
もしはずしたらというプレッシャーに耐え、冷静に決めたシュート。
敵方も思わず喝采をおくるほどのかっこよさ。

与市の着る濃紺の直垂(ひたたれ)は、袖先だけ別布で
浅葱色に金銀の刺繍がしてあるらしい。
その上につけた鎧は糸が萌黄色のグラデーションになってるのだ。
夕陽にかがやく波の上を見れば、小舟が一艘浮かび、
赤い袴に柳がさねの五つ衣をまとった美女が、
金箔で日輪を描いた紅の扇をひろげて手招きをする。

読みながら思い描くのが追いつかないほどの、
この色彩の豊かさはどうだろう。
史実かどうかは、わたしにはどうでもよい。
映像どころか、絵だってそうそう見られなかった時代に、
このような描写を文字で読み、あるいは語りで聞いて、人々が
思い思いに想像したものが「平家物語」の世界だったのですね。

わたしが生まれた町は、「壇ノ浦」の古戦場にほど近い。
大型貨物船も進みあぐねる海峡の速い流れを眺めながら、
母や祖母から断片的に聞いたのは、「扇の的」から
「早鞆」にかけての話であった。
遅ればせながら、いや、まだ遅くはないか、この機会に、
も少し読んでみることにいたしましょう。

(と、さらに脇道にそれて、閑猫どこへ行くのやら・・?)


さてさて。
探していた(当初の目的の)最後の資料がみつからないまま、
図書館は蔵書点検の休館に入ってしまった。
何というタイトルの本に入っているかがわからないので、
見当をつけて抜き出して片っ端からめくっていくしかないんである。
うーん、どこかの大学の図書館にでも忍び込んで探そうかな。
と半分あきらめていたところ、54年前の古本が
ネットで「97円」で出ているのを偶然みつけ、即買う。
送料を入れても347円。
ああ、インターネットって素晴らしい。

 

本日の鳥さん。

朝、雨戸を開ける音で、ヤマガラが餌台にやってくる。

 

そして本日のにゃんこ。

影だけ化け猫。

 

本日の「いいね!」

Playful Doodles

思いつきそうで思いつかない。
Javier Pérez さんの愉快なアート作品。

 

そうそう、忘れないうちに、これも貼っておかなくちゃ。

サンタクロースからの手紙

まだ間に合うよ!

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする