弁理士の日々

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審査基準専門委員会議事録

2013-03-01 21:49:04 | 知的財産権
産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会 審査基準専門委員会は、この1月10日に第9回を開催しています。
1月16日にアップした第9回審査基準専門委員会では、その第9回(平成25年1月10日)の配布資料の中身について話題にしました。
配付資料中の『「発明の単一性の要件」、「発明の特別な技術的特徴を変更する補正」の審査基準改訂の骨子(案)』には、シフト補正の審査基準案として以下のように記述されているのです。
『Ⅱ 「発明の特別な技術的特徴を変更する補正」の審査基準改訂の骨子(案)
1 基本的姿勢
先行技術調査・審査のやり直しとなるような補正を制限するという、発明の特別な技術的特徴を変更する補正を禁止する規定を設けた趣旨を踏まえ、発明の特別な技術的特徴を変更する補正か否かの判断を、必要以上に厳格に行うことがないようにする。
2 審査の進め方
補正後の特許請求の範囲が補正前の特許請求の範囲に続けて記載されていたと仮定したときに、改訂後の「発明の単一性の要件」の審査基準によって審査対象となる補正後の発明については、特許法第17条の2第4項の要件を問わないこととする。』

その後、当該委員会の議事要旨も議事録もなかなか公表されませんでした。それが先日(2月26日頃)、やっと公表されたのです。
議事要旨議事録

議事録には何と書かれているでしょうか。

『事務局が提案した「「発明の単一性の要件」、「発明の特別な技術的特徴を変更する補正」の審査基準改訂の骨子(案)(資料5)に沿って、審査基準改訂の作業を進めることが了承された。各委員から出された意見の概要は以下のとおり。

○ 事務局提案に賛成する。
・・・
事務局提案によると、EPOと実体的なハーモができるところまで来ており大変結構である。シフト補正の事実上の廃止に近いのではないかとも感じる。単一性やシフト補正は、審査の負担とユーザーの利便のバランスの話であり、審査官の裁量の幅が広いほうが好ましい。
○ 事務局提案を支持する。従前からのユーザーの要望である、単一性の要件の判断における原則と例外の考え方を逆にしてほしいとか、原則全ての請求項を審査してほしいというところは、改訂後の審査基準に具体的に明記されることはなさそうだが、実質上ユーザーの希望している方向と、軌を同じにしていると考える。
・・・
○ ・・・非常に投機的な請求項1が記載されて幅広い発明が請求項1に従属する形で一の願書で出願される恐れや、シフト補正についても同様に投機的な請求項に基づいて補正がなされることの懸念に対してしっかりと対応できるのか。
・・・
○ ・・・今回の事務局提案によれば、従来と比べてかなりユーザーフレンドリーになり、かつ特許庁の負担もそれほど増えないというところで落ち着くではないか。
○ 今回の事務局提案は、前回の議論を踏まえて、効率性を考えつつもユーザーの意見に耳を傾け、柔軟な対応ができるような審査基準になるものと考えるので、これを支持する。』

専門委員の方々は、事務局提案を読んで私が感じたと同じ方向の感想を持たれているようです。そしてその旨、専門委員会で議論がされているようです。
ただし、議論からもわかるとおり、1月10日の専門委員会で提示されたのは、あくまで審査基準の骨子というか考え方までです。これを実際の審査基準に落とし込んだときにどのような表現になるのか、こればかりは蓋を開けてみるまでわかりません。

TBさんからの情報では、2~3月に審査基準案が公表されるのではないかということでした。3月に入りましたが、実際にはいつごろ公表されるのでしょうか。
コメント (1)
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