弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

第9回審査基準専門委員会

2013-01-16 20:44:21 | 知的財産権
昨日、このブログで産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会 審査基準専門委員会第8回(平成24年11月12日)議事録について話題にしたばかりでした(審査基準専門委員会議事録)。
そうしたところ本日、第9回(平成25年1月10日)の配布資料が同じページにアップされたのでした。

そこで、配付資料について閲覧したところ、下記『「発明の単一性の要件」、「発明の特別な技術的特徴を変更する補正」の審査基準改訂の骨子(案)』を読んで目まいがしそうになりました。
シフト補正の審査基準案は3ページに以下のように記述されています。
『Ⅱ 「発明の特別な技術的特徴を変更する補正」の審査基準改訂の骨子(案)
1 基本的姿勢
先行技術調査・審査のやり直しとなるような補正を制限するという、発明の特別な技術的特徴を変更する補正を禁止する規定を設けた趣旨を踏まえ、発明の特別な技術的特徴を変更する補正か否かの判断を、必要以上に厳格に行うことがないようにする。
2 審査の進め方
補正後の特許請求の範囲が補正前の特許請求の範囲に続けて記載されていたと仮定したときに、改訂後の「発明の単一性の要件」の審査基準によって審査対象となる補正後の発明については、特許法第17条の2第4項の要件を問わないこととする。』

何ということでしょう。これは凄いことになりました。
例えば、補正前が
『請求項1 A
請求項2 A+B』
で、請求項1にSTFが認められなかった場合、
補正後
『請求項1 A’』(A’はAを減縮した発明)
であってもシフト補正とされることがなくなるのです。
それは、補正前が
『請求項1 A
請求項2’ A’』
と続けて記載されていたと仮定したときに、この請求項2’は『改訂後の「発明の単一性の要件」の審査基準によって審査対象となる補正後の発明』に該当すると思われるからです。
従って、私が昨日の審査基準専門委員会議事録で要望したところの、『・審査された補正前の独立請求項からの減縮補正はシフト補正とするべきではない。』という要望が満たされることとなったのです。

ps 1/16 20:55
記事をアップした後に読み直したら、ちょっと不安になりました。
私は改訂審査基準を『補正後の請求項1が補正前の請求項1に続けて記載されていたと仮定したとき』の意味で読んだのですが、正確には『補正後の特許請求の範囲が補正前の特許請求の範囲に続けて記載されていたと仮定したとき』です。私が解釈したように解釈できるのかどうか・・・。今後の議論待ちです。
コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 審査基準専門委員会議事録 | トップ | 最高裁判事に鬼丸かおる弁護... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
大きく緩和 (TB)
2013-01-17 02:13:52
私も先生と同じく、『・審査された補正前の独立請求項からの減縮補正はシフト補正とするべきではない。』(基本的には。ただし例外あり。)と読みました。

 また今までは「シフト補正違反だが、例外として要件を問わずに審査する」(≒お目こぼし)との記載ぶりだったのが、「立法趣旨を踏まえ、要件を問わないこととする」に変更になっている点に注目しました。
 改訂前は「違法だけどお目こぼしする」だったのが、改訂案では「そもそも条文の射程範囲外なので、要件を問わない(違法か合法かは問題ではない。どっちでもいい。)」となったわけです。このブログでも問題視された「お目こぼし」ではなく、大手を振っての補正が認められることになりそうです。(頭のいいこと・・・。ちょっと無理筋な気もしますが。)

 なにはともあれ、大きく緩和されて、まずは良かったと思います。
返信する

コメントを投稿

知的財産権」カテゴリの最新記事