弁理士の日々

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相対的貧困率へのコメント

2021-10-10 09:20:19 | 歴史・社会
12年前の当ブログの記事「相対的貧困率データが意味するものは 2009-11-08」については、昨日再掲したところです。次に、上記当時のブログ記事に寄せられたコメントを再掲します。
--コメント再掲-------------------------
相対的貧困率のまとめ (びいの たけし)   2009-11-08 20:12:15
同じ連合でも、連合総研がまとめたレポートが包括的でスタンダードな分析をしていると感じました。
urlのリンク集にありますが、ネット上で無料で閲覧できます。
公正で健全な経済社会への道 連合総合生活開発研究所
高齢化の影響を除くには年齢階級別の相対的貧困率をフォローするのがよいと思います。

Unknown (ゆうくんパパ)   2009-11-09 10:20:03
貧困率は、3年ごとの国民生活基礎調査のデータで計算されており、一番古いデータは85年です。
政府は公表していませんが、OECDが公表している「80年代なかば」(85年と思われます)の貧困率は12%です。
また、「90年代なかば」(94年と思われます)の貧困率は、13.7%です。
これらのデータは、OECDのホームページのデータベースで見ることができます。
長期的に見ると、日本の貧困率は一貫して上昇傾向にあります。
ただし、貧困率は「所得中央値との比較」であるため、中央値が下がると貧困率が低下します。
これは、貧困層の所得が改善されたわけではなく、中間層の所得が落ち込んだために発生する「見かけの改善」です。
03年に貧困率が「改善」したのは、中央値が大幅に下がったためだと思われます。
貧困率の数字だけ見れば、97年以前の方が、上昇率は大きく、最近になって急上昇しているとは、必ずしもいえません。
しかし、97年以前の貧困率の上昇は、国民全体の所得が伸び、中間層の所得も伸びている中で、貧困層の所得も多少は伸びつつも、全体の伸びに追いついていかないという意味での貧困率の上昇でした。
97年以降の貧困率の上昇は、国民全体の所得が減少する中で、貧困層の所得はさらに低下していることを示します。
その意味では、最近の貧困率の上昇は、その数字以上に深刻な意味を持っていると思います。
日本の貧困率が高いのはなぜか。
最近の上昇の原因は何か。
これらを正確に議論するためには、単に貧困率の数字さけでなく、その計算のもとになったデータや、性別、年齢別、世帯業態別などの計算結果を公表することが必要だと思います。
国民生活基礎調査の公表データを使って、ある程度までは素人でも計算できますが、正式なデータの公表が必要だと思います。

相対的貧困率 (ボンゴレ)   2009-11-09 17:09:34
びいのたけしさん、コメントありがとうございます。
連合総研のレポートは1990年代からのデータを掲載しており、今回政府が公表したデータよりも長いスパンでデータを解析できそうです。

もしご存じだったら一点教えてください。
連合総研レポートの124ページ図表11-2-16に年齢階層別の相対貧困率推移が示されています。
ここで、中位数の人の所得の半分以下の所得の人を「貧困」とするわけですが、各年齢別において、例えば30歳未満の相対的貧困率を算出するに際し、中位数の人の所得とは、全年齢合計における中位数の人の所得なのか、それとも30歳未満の人の集合の中での中位数の人の所得なのか、その点がよくわかりません。
もしおわかりでしたら教えてください。

ゆうくんパパさん、コメントありがとうございます。
OECDデータによれば日本の相対的貧困率は、80年代:12%、90年代:13.7%、00年代:15%代ということになるのですね。
「70~95年は一億総中流、95年以降は格差社会」という区切りは、国民の気分を表しているのみではなく、実質的にも貧困格差が進行している、ということになるようです。
一方で、「小泉・竹中改革のせいで格差が拡大した」という短絡的な言い方はやはり本質を見誤るのでしょうね。

日本の貧困率が高いのはなぜか。
最近の上昇の原因は何か。
という点についてさらに深い解析を待ちましょう。

それにしても、私は理系のせいか、今回のような解析であれば、横軸が可処分所得、縦軸が頻度となるようなヒストグラムを見たくなります。そのような図表が絶無であるというのは、もちろん政府がデータを公表しないからでしょうが、そのようなデータを見たいという要望も少ないのでしょうね。
その点は不思議です。

データの秘匿の問題では (びいの たけし)   2009-11-10 05:27:29
urlに子供の貧困率について推計したものを載せていますが、統計データの個票データの情報を公開しなければ正確なものは描けませんので、その問題で、公開したくてもできないのだと思います。

ボンゴレさんお尋ねの件については、明確にはわかりませんが、年齢内の格差を論じているとすれば、中位数は年齢内のものと理解することで構わないように思います。分析の注などにあたってみる必要があります。連合総研に直接問い合わせてみるのが早いかと思います。きちんとしたシンクタンクなら回答をくれると思います。

年齢別の貧困率 (ボンゴレ)   2009-11-11 14:59:43
びいのたけしさん、ご返答ありがとうございます。
連合総研レポートでの疑問点については、ご指摘のとおり、連合総研に問い合わせました。返答がありましたらまたご報告します。

年齢別の貧困率 (ボンゴレ) 2009-11-14 22:52:19
連合総研レポートの124ページ図表Ⅱ-2-16に年齢階層別の相対貧困率推移が示されています。
ここで、中位数の人の所得の半分以下の所得の人を「貧困」とするわけですが、各年齢別において、例えば30歳未満の相対的貧困率を算出するに際し、中位数の人の所得とは、全年齢合計における中位数の人の所得なのか、それとも30歳未満の人の集合の中での中位数の人の所得なのか、その点が不明だったので、連合総研に直接問い合わせてみました。

その結果、すぐに回答をいただくことができました。連合総研さん、ありがとうございます。

結論は以下の通りです。
「年齢階層別の貧困率は、全年齢データの中位
数の所得値(等価所得)の半分(50%値)を相対的貧困の基準値としたものです。この基準値を各年齢階層の所得データに当てはめ、この基準値以下の人数が、その年齢階層の人数に対して何%を占めるかという比率がその年齢階層の相対的貧困率です(OECDの相対的貧困率の作業)。」
年齢層別に中位の人の所得を用いたのではありませんでした。

従って、連合総研レポートの図表Ⅱ-2-16は、各年齢階層ごとにその階層内での貧富の格差を見たものではなく、前年齢層の中で「貧困」と定義づけられた世帯が、各年齢階層ごとにどの程度の比率で存在するかを見たデータであるということになります。

この点は実は、連合総研レポート123ページの図表Ⅱ-2-15(可処分所得200万円未満層の構成比の推移)と、問題にしている図表Ⅱ-2-16との類似性からも、そうに違いないと推定していたところです。

慧眼ですね (びいの たけし)   2009-11-17 21:04:39
ボンゴレさん、ご報告ありがとうございました。なかなかの慧眼ですね。

厚生労働省から11月13日に現役世代の相対的貧困率が公表されましたね。前回の公表ほど騒がれていないようですが。

政府とOECDによる貧困率 (勉強中)   2010-03-18 13:21:47
こんにちは

相対的貧困率について調べていて当サイトに辿り着きました。
初学者にとっても勉強になるものでした。ありがとうございます。('-'*)♪

少し疑問なのですが、昨年厚生労働省が初めて発表した過去10年間の貧困率を出すのに利用したデータと、OECDが今まで公表している貧困率を出すのに利用したデータは違うものなのでしょうか?OECDが計算に使っているデータはおそらく各政府から公表されている数字を利用していると思うのですが、昨年厚生労働省が相対的貧困率を算出する際に利用した方法はOECDと同じであるとされているので、政府が今回出した数字と今までのOECDの数字とは何が違うのかが、よくわかりませんでした。ご存知でしたら教えてください。
また、調べる方法などもご助言頂ければ幸いです。
OECDのドキュメントをみてもよくわかりませんでした。

宜しくお願いいたします。

相対的貧困率について (ボンゴレ)   2010-03-18 21:35:19
勉強中さん、コメントありがとうございます。

私はこの分野については門外漢なので、残念ながらご質問についてお答えできる知識は持っていません。

ところでこの記事の後、「日本での相対的貧困率推移」と題して別の記事もアップしましたので、こちらもご覧いただければ幸いです。このアドレスです。
--コメント再掲、以上---------------------

2009年の上記ブログ記事に続いて、私は1985年まで遡っての相対的貧困率の推移解析を試みました。次に、そのブログ記事を再掲します。
コメント
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