弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

1年前の週刊ポスト記事

2009-01-14 23:18:33 | 歴史・社会
家で書棚の整理をしていて、1年前の週刊ポストに興味深い記事を見つけました。
「2008.1.4・11 週刊ポスト」で、もともと高橋洋一氏の埋蔵金関連の記事が載っていたので購入し、今まで保管していたものです。この週刊誌の180~183ページに、今回話題にする記事が掲載されています。

「近未来予測リポート 2008『ドル崩壊』で『資産消失』 緊急シミュレーション」

「ここ数年、懸念されてきた『ドル崩壊』がいよいよ現実のものとなりつつある。
現在のドル安は歴史的だ。対円レートこそ113円(レートは12月18日現在)だが、・・・ユーロに至っては誕生以来(0.69ユーロ)の安値圏が続いている。
経済アナリストの森永卓郎氏(獨協大学経済学部教授)は、サブプライムショックを端緒として08年中にさらなるドルの暴落が起こりえると予測する。」
森永氏は、マクドナルド社のビックマックの価格をもとに消費者物価を勘案したリポートを示し、『このリポートによれば、1ドルは82円と発表されている。私もだいたいこれが適正な為替レートだと考えています』としています。

かつてジョージ・ソロス氏とヘッジファンドを立ち上げ、活躍した伝説の投資家であるジム・ロジャース氏は、「今後の展開次第では、大手投資銀行が破綻に追い込まれるような事態もあり得る。これが起こればドルのパニックをさらに助長し、米国経済が大混乱に陥る。・・・私もこの1年のうちにドル建ての資産はすべて処分するつもりでいる」と述べています。

「経済ジャーナリスト・荻原博子氏は『1ドル80円が引き起こす危機』について、こうシミュレーションする。
『外国人投資家たちがドル暴落の穴埋めのために日本株を売ることも想定され、相場が数千円単位で下落することが想定されます。
企業は派遣社員や高齢社員のリストラという形で早々に対策を打ってくるでしょう。』
日本経済は壊滅的パニックとなりかねない。」
----以上-----

何と何と、現在の日本の経済状況をピタリと言い当てているではないですか。
こういう予想をする人が、1年前にちゃんといたということですね。

しかし、少なくとも私は全く注目していませんでした。たとえ印象に残ったとしても、たかが週刊ポストが掲載する経済記事だから、どうせいい加減だろう、で済ませたことでしょう。
何とも週刊ポスト誌をお見それしていました。深くお詫びし、その卓見に敬意を表します。

しかし、この記事でも予測を誤った点はいくつかあります。
第1に、「ユーロは安泰」と考えた点です。去年の秋以降の、対円ユーロ下落をまったく予測できていません。
第2に、中国株などのBRICsが、アメリカの経済危機に呼応して危機的状況に陥ることも予測できませんでした。

「『為替が不安定な時は現金主義が基本』というのは、複数の専門家の一致した意見だ。」というところで止めておけば、まさにすばらしい卓見、と喝采するところだったのですが、その後で、「株なら中国株」「外貨預金なら『ユーロ』と『人民元』へ」と勧めている点で予想は外れてしまいました。
コメント
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