弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

審査官との対話

2007-07-05 20:37:14 | 知的財産権
とある特許出願について拒絶理由通知を受けました。
引例1、引例2、引例3に基づいて進歩性なし、という拒絶理由です。
引例3に記載された事項の解釈について、審査官が2箇所ほど誤解していることが分かりました。
まずはその誤解を解くために、できるだけ丁寧に意見書を仕上げました。しかしこれだけではやはり心配です。文章のみでは誤解が解けない可能性もあると考え、出願人と相談の上、審査官に電話して面接を申し込みました。
審査官は、「面接を受けましょう。もし意見書と補正書ができあがっているなら、事前にファクスで送ってください。」とのことで、さっそくファクスで送りました。

送信した次の日、審査官から電話がありました。
「引例3の解釈が誤解であったことは納得しました。しかしそれでも、引例1、引例2、引例3の記載内容を総合すると、当業者であれば本願発明を容易に想到し得るように思いますが。」
当方「いやいや、本願発明の着想のポイントは○○にあり、各引例にはそれと反対の技術常識しか記載されていません。」
審査官「そのポイントは意見書のどこに書いてありますか?」
当方「意見書の□□のあたりです。」
審査官「わかりました。それではもう一度意見書を読んでみましょう。」

1時間ほどして、審査官から再度電話がありました。
「今回送ってもらった意見書・補正書案で、拒絶理由は解消したとの心証を得ました。このままのかたちで提出してください。」
当方「ありがとうございます!!」

ということで一件落着です。
面接のために、遠方から発明者に来ていただく手間が省けました。私も、特許庁に面接に行っていれば半日仕事ですから、2本の電話で理解を得ることができました。

それにしても、本願発明のポイント○○がもっと目立つように意見書を工夫しないといけませんね。今回は、引例3の解釈の誤解を解くことに集中しすぎました。
コメント
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