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晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

ISS拡大撮影(カラー編)その3

2021年10月25日 | ISS(国際宇宙ステーション)
ISS拡大撮影(カラー編)3rdトライアルの記録です。

 今回はPowermate2×を外して焦点距離1500mm(F5)でのテスト撮影です。
その目的は下記のとおり…
 ①ASI290MCの写野角を広くしてISSの捕獲率を高める。
 ②Powermate2×の有無による拡大率の比較
 ③シーイング対策としての効果の検証。   
 
…で、テストは10月24日のPassで行いました~。
イベントデータ



〈結果と考察〉
①「写野角を広くしたASI290MCによるISSの追尾について」
 今回の写野角はPowerrmate2×を付けた時と比べて面積比で4倍もあるので当然ではあるが
捕獲率は高く、全体の8割はキャプチャーすることができた。

2021年10月24日04時46分のISS


②「Powermate2×の有無による拡大率の比較について」
 下記写真は比較するためにSER Player をスクショして合成したものだがその差は一目瞭然で焦点距離の長いほうが圧倒的に解像度が高い。正直なところこれほど大きさに違いが出るとは予想していなかった。これを見る限りPowermate2×を外してf1500mmで撮影する必要性はどこにもないように感じる。


③「シーイング対策としての効果について」
 結論から言うとこちらも予想ほどの効果はなかった。撮影日のシーイングは5段階スケールのⅡとIIIの中間で10月にしては悪くない気流だったが、動画を見て分かるようにISSはかなり揺れており焦点距離を短くしたことによるブレの軽減は見受けられなかった。

シーイング・スケール(5段階)


 V  動きのない完璧な回折パターン
 IV  回折リングを横切る光のうねりが見られる
 III  中央ディスク変形、回折リングが一部壊れている
 Ⅱ 中央円盤の重大な渦流. 回折リングが欠落又は部分的に欠落している
 Ⅰ 回折パターンがみじんも見られない沸騰しているような星像

④〈露出について〉
 今回はShutter速度を0.783ms、Gainは210 (35%)で撮影したが太陽電池パドル以外はすべて露出オーバーだった。ISSの光度にもよるがGainは150~170程度まで下げても問題ないと思われる。直前に明るい恒星を導入して恒星像が肥大しないように露出を調整するのは一つの目安になる。

⑤「大気分散キャンセルについて」
 焦点距離1500mmにADCを装着すると合焦しなかったため今回はADCを外して撮影した。

⑥「動画から切り出した静止画像」
↓ file.No4441 2021.10.24 04h45m28s



現在のISSの様子


↓ file.No4884 2021.10.24 04h45m29s


↓ file.No6297 2021.10.24 04h46m05s


↓ file.No6832 2021.10.24 04h46m18s


〈参考気象資料〉




過去ブログ(カラー編)↓
ISS拡大撮影(カラー編)その2 2021.9.14 
ISS拡大撮影(カラー編)その1 2021.9.11

過去ブログ(モノクロ編)↓
ISS画像 ステレオグラム(立体写真)2021.6.17 
ISS画像 コンポジット(ステライメージ編)2021.6.10
ISS画像 コンポジット(AS!3でスタック編)2021.6.10
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その8 2021.6.2
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その7 2021.5.30
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その6 2021.5.15
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その5 2021.5.14
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その4 2021.4.7
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その32021.4.5
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その2 2021.2.19~2021.3.12
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その1 2020.10.5

過去ブログ(Nauka編)↓
ISS拡大撮影(8/26)2021.8.27
ISS拡大撮影(8/1)2021.8.2 
ISS多目的実験モジュール「ナウカ(NAUKA)」2021.7.10

ISS拡大撮影(Daylight 惑星カメラ編)

2021年10月21日 | ISS(国際宇宙ステーション)
本日、突然ですがISS拡大撮影の新たなミッションを始めました~。
名付けて「ISS拡大撮影~Daylight 惑星カメラ編~」です。

 これは気流の関係で夜間のISS撮影がシーズンオフとなる秋から春の期間に
透明度が良くなる昼間のISSを惑星カメラで撮影してみよう~というミッションです。

 昼間のISSは上面を太陽光で、下面を地球の反射光で照らされているため太陽光の当たらない
影の部分がありません。そのため全方位から照らされた全反射のISSを撮影することができます。

 昼間のISSはこれまで2回ほど撮影に成功してますがデジカメ撮影ではこんな感じです。

2021/3/23 17:25:58  D300mm Powermate2× F10 D810A ISO1600 1/1250

 そこで惑星カメラを使ってデジカメ以上の解像度を得ようというのが今回の目的です。

2021/3/24 16:38:40  D300mm Powermate5× F25 D810A ISO3200 1/2000

撮影日のイベントデータ


 今回のイベントは直距離が500kmオーバーなので気象状況によっては見えない可能性も大ですが本日の目的はデータ収集なので写らなかったとしても問題はありません。チャレンジあるのみです。
 
 …と思ったのですが問題発生です。昼間にのこのこ望遠鏡を出してもピント合わせをする天体がありません。金星が見えればいいのですが、現在東の空高度20°なのでピン合わせには不向きです。月もありません。で、仕方ないのでソーラーフィルターを付けて小さな黒点でピン合わせをしました。

 時間のないところでやっていたのでやっとPC画面上に黒点が写ったときはISS通過5分前です。
ピンの追い込みはあきらめて待ち伏せポイントに望遠鏡を向けてスタンバイです。

 おっと申し遅れました。本日のカメラはカラーカメラです。このミッションはモノクロカメラとカラーカメラの双方で行います。さて、今日のシャッタースピードは 0.901ms、Gainは 255 (42%)にしてみました。これでPC画面上にはキレイな青空が写っていますが、露出が適正かは分かりません。

 さて時間です。ファインダーを覗いていると時間よりちょっと遅れてISSが飛び込んできました。手動追尾開始です! 距離が遠いのでISSは小さな虫のように見えます。透明度が高いので長い時間追尾できましたがロスト後の再導入はできませんでした。

 撮影終了後、動画を再生すると…ほとんど写っていませんでした~。かろうじて写っていたのは下記の数コマです。ピントが大きくずれてて、気流もかなり悪いようです。


本日のベストフォト、
ISSの形がなんとなくわかるような、わからないような…

 上記写真は600×600サイズで切り出した画像です。カラーカメラは写野が狭いので過剰拡大ですね。カラーカメラを使うときはPowermate2×を外して焦点距離を1500mmにした方がよさそうです。Powermate2×を外すとF5になるのでシャッターを0.8msにしてGainは220前後がいいかもしれません。

 さて、今後の撮影計画ですが Daylight Pass は夜間のPassに比べて撮影できる日がかなり限定されます。理由としては…

〈理由その1〉光度が-3.0等級以上の明るさがないと昼間は見えない。

 上記のPassは最大仰角が73°もあって通過条件としては申し分ないのですが明るさが
-2.5等級です。経験上ですがこの明るさでは青空の中では見えません。気象条件にも
よりますが明るさは-3.0等級以上ないと青空の中ではキビシイようです。

〈理由その2〉天頂通過の好条件Passでも太陽位置によって撮影不向きの日がある。
 特に夏季は太陽高度が高いので直距離が430kmでも明るさが-3等級にとどかない日も
あります。


 それに比べて冬期間は12時頃でも太陽高度が低いので十分撮影可能な
明るさで通過していきます。


 太陽高度が低い夕方朝方の天頂通過Passは金星並の明るさになること
もあります。

 これは冬期間に限ったことではありませんがこのようなPassはレア
なのでとても貴重です。

 ま、ということなので次の機会は気長に待つことにしましょう。

ISS超拡大眼視ミッション・シーズン2 「リボーン編 」

2021年10月11日 | ISS(国際宇宙ステーション)
2021年10月4日 プレスリリース
「本日、ISS超拡大眼視ミッションを再開した!」
「おー 博士、久しぶりですね! え!? このイベント続いていたんですか?」

「イベントではない。ミッションである。今回は満を持しての新兵器投入だ。」
「えっ、新兵器ってなんですか?」

「ズバリ正立プリズムだ!」
「ぷっ、博士~、笑わせないでください。今は令和ですよ。アマチュアレベルでISSの
  自動追尾ができる時代ですよ。博士は過去から来たタイムトラベラーですか~」

「実はこの構想は10年前からあった。しか~し、拡大撮影ミッションも
  あったのでなかなか機会を持てず今日になってしまった…」
「え、10年前!?、そんな昔から考えてたんですか~?」

「そう、あれは今から12年前… ワシが超拡大眼視ミッションを始めた頃は
  望遠鏡を使ってISSを肉眼で見る人はワシ意外にはおらず…」
「もちろんです。だいたい企画がクレージーですし、見る必要性も無いですよね~
  あれ?… 博士、視線が遠くに行ってますよ。」

「…つまり、何を言いたいかというと、ズバリ、ワシが世界で初めて望遠鏡を使って
  生のISSを見た人間であるということだ!」
(おっ、急にマウントを取りに来たぞ、ここは話題を戻さねば…)

「あの~それで、今回のミッションはどのようなものですか?」
「おお、いい質問だ。ではまず、これまでの眼視ミッションの歴史を振り返っておこう!」

「博士~、それ必要ですか?」
↓ 無料配信中
エピソード1を見る〉ISSを見よう               2009.9.7            
エピソード2を見る〉ISS超拡大眼視ミッション         2009.9.24
エピソード3を見る〉ISS超拡大眼視ミッション ~再開編~   2010.1.24
エピソード4を見る〉ISS超拡大眼視4thミッション       2010.1.25
エピソード5を見る〉ISS超拡大眼視5thミッション       2010.4.29
エピソード6を見る〉ISS超拡大眼視6thミッション       2010.8.6

「博士~とりあえず見ました~。ギブアップ宣言から11年がたったんですね~」
「何度も言うようだがあれはギブアップ宣言ではない。そもそも…」

「あー、博士、分かりました~。それで今回はどうだったんですか~?」
「おお、今回は、なかなか面白い結果になったぞ!」

さて、結果報告のまえに今回導入した正立プリズムについて説明しよう。
博士が言っていた正立プリズムはこれである。

Kasai ELS正立双眼装置

ELS正立双眼装置は「正立像」&「必要光路長ゼロ」という優れもののの双眼装置である。特徴としては、光路分割光学系に通常のビームスプリッタープリズムではなく、精密に研磨されたナイフエッジ光路分割ミラーを採用しているため左右の色調差や明度差が僅少で、更にプリズム使用に起因する諸収差の発生もコントラスト低下も無い極めて明瞭な双眼イメージを得ることができる(Kasai Trading Web ページより。)これを使うことにより望遠鏡での追尾を容易にし、さらに両眼で見ることができるためISSの詳細を広い視野で確認することができる。

アイピースはEXTRA-FLAT 16mm/60° アイレリーフ18mm を使用。30cmドブ(D305mm f1500mm)と組み合わせることで倍率93倍、実視界0.64°(38.7′)を得ることができる。

 そして今回のコースだが、昇り始めから影に入る高度74°まで垂直に上昇するこれ以上の好条件は無いと言えるベストコースである。超拡大眼視ミッションには最適な待ちに待った極上のコースだ。
本日のイベントデータ



天候は雲量0、下記予報図にあるようにシーイングはまあまあだが透明度は悪くない。直前にISSとほぼ同じ視直径の木星で双眼装置の左右の光軸調整と視野内でのISSの大きさをイメージしてすべての準備は整った。


まもなく時間です… 今回のコースでの通過時刻と高度、直距離は下記のとおり。
・18:54:39   10°   1492km
・18:55:50   20°   1019km
・18:56:30   30°    769km
・18:56:56   40°    623km
・18:57:15   50°    532km
・18:57:29   60°    479km
・18:57:41   70°    446km
・18:57:47   75°    435km(影に入る)

さて、そろそろです。待つ時間は長く感じます… おっ、来ました! 屋根の上にISSがいます。では深呼吸をしてファインダー導入開始です。センターサークルを進行コース上に置いて…すぐ双眼装置を覗いて待ち伏せ作戦開始です。

 おおー、導入成功です! 高度は約25° 推定距離は800km、動きはかなり遅いです。あー形が見えます。左右の太陽電池パドルがオレンジ色でその間のラジエターパネルと居住棟が同化して金色の円盤状に見えます。が、かなり小さいですね~。正立プリズムのおかげでスムーズに追尾できてるので、このまま気を緩めずに追尾続行です。

 徐々に大きくなってきました。左右の太陽電池パドルが2本ずつに分離して櫛状にはっきり見えます。居住棟付近は明るすぎて分離できません。やはりF5では明るすぎるのかも…と思った瞬間、視野内のゴーストを追尾してしまいロストです! しまった! 邪念は禁物です。視線を夜空に戻して再導入です。ISSは高度50°付近にいます。大丈夫再導入できる…と自分に言い聞かせて、一度目は入らず…二度目の導入で… 入りました! 追尾再開です。

 高度が60°を超えて直距離が400km台に入りました。見かけ上の移動速度はMAXです。手ぶれを最小限に抑えながら追尾してISSの動きが止まった瞬間の映像を脳内に記憶させます。左右の太陽電池パドルは格子状でかなり細部まで見えました。しかし居住棟付近の明るさは増すばかりで結局ラジエターパネルと居住棟を分離することは出来ませんでした。地球の影に入り暗くなり始めてから約3秒後には見えなくなりました。まぶしすぎたという反省点はありますが手応えはありました。F5でまぶしすぎるのは想定内ですので次回は減光するよう光学装置に手を加えてチャレンジしたいと思います。

今回のまとめで~す。

眼視イメージは望遠鏡視野内でのISSの大きさを表しています。右は実際に見えた様子の再現図です。


〈WHITEY DOB30とアイピースの組み合わせφ(..)メモ〉
焦点距離1,500mm F5
☆PL25mm(52°) 60倍 52°÷60倍=0.86°(51.6′) ← 1st.2ndミッション
☆EF-16mm(60°) 93倍  60°÷93倍=0.64°(38.7′)← 7thミッション(今回)
☆HC12mm(42°) 125倍 42°÷125倍=0.33°(20.1′) ← 5thミッション
・PL10mm(52°)150倍 52°÷150倍=0.34°(20.4′)
・Ph5mm(60°) 300倍 60°÷300倍=0.20°(12.0′)

合成焦点距離3,000mm(powermate2× 使用) F10
☆WA32mm(70°) 93倍 70°÷93倍=0.75°(45.0′) ← 4thミッション
・Ph25mm(60°) 120倍 60°÷120倍=0.50°(30.0′)
・PL25mm(52°) 120倍 52°÷120倍=0.43°(25.8′) ← 3rdミッション
・EF-16mm(60°) +レデューサー(0.66×) 125倍  60°÷125倍=0.48°(28.8′)
・EF-16mm(60°) 187倍  60°÷187倍=0.32°(19.2′)
・Ph15mm(60°) 200倍 60°÷200倍=0.30°(18.0′)← 6thミッション

☆はISSを確認できたミッション

ISS拡大撮影(10/5)

2021年10月06日 | ISS(国際宇宙ステーション)
今回のISSは距離が547kmもあるので天候状況が悪いときは撮影を見送るパスですが今回の撮影には特別な理由があります。それは低高度(200km)を通過するソユーズが見られる可能性があることです。

 10月5日のソユーズMS-19は3時間でISSへドッキングさせるためにバイコヌール宇宙基地上空をISSが通過したタイミングでリフトオフしました。



 その15分後にISSが薄明中の日本列島を通過していくので、正確な時間や位置は不明ですがISSの近くをソユーズが飛行していることになります。雲量は7~8ですがこれはチャレンジする価値があります。

本日のイベントデータ


で、結論ですがソユーズは見えませんでした。(見つからなかったという方が正しいかも…)

 運良く雲間からISSは見えたのですが…ソユーズらしき飛行物体は写っていませんでした。


こちらは拡大撮影したISS。580kmの距離と気流の悪さを感じさせる写りです。

今回はモノクロ惑星カメラでの撮影です。


 さて、今回のソユーズには美人すぎる宇宙飛行士さんが搭乗しています。女優のユリア・ペレシルド(Yulia Peresild)さんです。国際宇宙ステーションで初の長編映画を撮影するために12日間ISSに滞在します。写真右側に写っているイケメンさんが監督のクリム・シペンコ(Klim Shipenko)さんです。中央がパイロットのアントン・シュカプレロフ(Anton Shkaplerov)宇宙飛行士です。

 ロスコスモスによると映画のタイトルは「Challenge」(チャレンジ、挑戦)で、重要な仕事を完遂するためにISSへ向かうことになった医師の物語のようです。
 さきほどISSに到着したユリア・ペレシルドさんの様子を伝える写真が公開されましたが、金髪がすべて逆立っていたので撮影時のヘアメイクはどうするの~と気になってしまいました。

ISSの中で撮影される映画はどんな感じなのか公開が楽しみですね。

ISS拡大撮影(カラー編)その2

2021年09月14日 | ISS(国際宇宙ステーション)
ISS拡大撮影(カラー編)2ndトライアルの記録で~す。

 今回のテストはウエッジプリズムによる大気分散キャンセルの効果についてです。
大気分散はザックリ説明すると、光の波長の違いで天体の見かけの位置が変わるため色の滲みが(青い光が撮影天体の上に、赤い光が下に)出る現象のことです。

 この現象は高度が低いほど顕著になるため高度60°以上では影響が少ないと言われていますが、いろいろ調べてみるとピクセルサイズ2.9μmのASI290MCでは高度60°でズレ幅が5~6ピクセルの色にじみが出ることが分かりました。(ちなみに高度70°では3~4ピクセル、80°では1~2ピクセルのようです。)

 こちらは先日撮影したISSです。拡大してみると青と赤の色にじみ出ていることが分かります。

〈9月10日に撮影したISS:高度69° 距離452km〉↓クリックで拡大


 大気分散をキャンセルする方法はいくつかありますが、今回は惑星を撮影するときにいつも使っている「ウエッジプリズムで光学的に補正する方法」で試してみました。

今回のイベントデータは下記のとおりです。



 今回のイベントは最大高度がわずかに36°で距離が692kmもあります。あきらかにフツーは撮影しないパスです~。(笑) えー、それは置いといて…今回の通過は計算上では10~14ピクセルの色ずれが発生するケースです。これは無視できない大きさですので、テストには最適のパスと言えます。

 さて、本日のシステムは前回と同じですがPowermate2×と惑星カメラの間にADCを入れてあります。この状態でピント合わせを行って第一準備段階終了です。入れただけでは何の変化もありませんのでここからの調整が重要です。木星の撮影時はファイヤーキャプチャー上にあるADC支援装置を使って調整しますが、ISSの場合はそうもいかないので、最大仰角に合わせて調整レバーを設定することにしました。詳しい説明は省略しますが高度によって調整レバーの開き具合が決まってくるのでそれに合わせてレバーの位置を固定してみました。今回は高度36°なのでレバー間の角度を30°にしました。

 さて、いよいよ撮影です。幸い、空は晴れています。ISSが地球の影から出てきました。撮影スタートです!

 ふう、撮影終了しました~。で、こちらがその動画です。
2021年9月13日04時09分のISS(仰角36° 距離692km)

撮影データ
 D300mm + Powermae2× + ADC + ASI290MC + UV/IR Cut Filter
 Shutter=0.763ms Gain=300 (50%) FPS (avg.)=48

 今回は距離が遠いので解像度が悪いのは仕方ないですね。さてADCの効果はあったのでしょうか?これでは全然わかりませんよね。…ということでほぼ同条件で撮影した過去動画を見て比較してましょう。

野口宇宙飛行士と星出宇宙飛行士が搭乗するISS(2021/4/26 撮影)

イベントデータおよび撮影データ
 最大仰角40° 距離633km -2.8等級
 D300mm + ASI290MC + UV/IR Cut Filter
 Shutter=0.882ms Gain=275 (45%) FPS (avg.)=13

 ふむ、ひいき目かもしれませんが、4/26は明らかに青色の滲みが出てますが今回は色にじみが無いように感じます。ADCの効果はありそうな感じがしますが、さらにテストを重ねることにしましょう。

 さて、話はちょっと逸れますがISS拡大撮影の成否を左右する重要なファクター「大気の揺れ=シーイング」を今まではネットの天気予報に頼っていましたが予報はあくまで予報であって実際のデータではないので、本日から撮影後にシーイング評価を実測することにしました。

 方法はいたって簡単で、天頂付近にある2~3等星の星を高倍率で見てシーイングスケールと比較するだけです。(回析パターンを見る時は口径(インチ)×30~40倍の倍率が適正のようです。)

 シーイング評価は10段階スケールの方が正確ですが、ここでは簡易的な5段階で評価することにしました。シーイングスケールはカナダ政府の公式ウエブサイトにあるものを参考にさせてもらいました。

 余談ですが、カナダは環境や気候変動及び気象に対する関心が国民レベルで高いようですね。このカナダ政府公式ウエブサイトの見やすさとその有益な情報量の多さに驚きました。シーイングに関するページはこちら→Seeing Forecast For Astronomical Purposes


今回使わせていただいたシーイング・スケール(5段階)
↓ クリックでアニメスタート


 V  完璧な動きのない回折パターン
 IV  回折リングを横切る光のうねりが見られる
 III  中央ディスク変形、回折リングが一部壊れている
 Ⅱ 中央円盤の重大な渦流. 回折リングが欠落又は部分的に欠落している
 Ⅰ 回折パターンがみじんも見られない沸騰しているような星像

 で、今回のシーイングレベルはⅠとⅡの中間でした~。(あれ?、それって10段階評価じゃないの?…)
 
 今回はウエッジプリズムによる大気分散キャンセルの効果について調べましたが、大気分散キャンセルの方法はこのほかに3つほど思いついていますので、機会を見て検証していくことにしましょう。


〈参考資料〉
250hPa(10km) 風速55m/s


500hPa(5500m) 風速25m/s


850hPa(1500m)) 風速23m/s



ISS拡大撮影(カラー編)その1

2021年09月11日 | ISS(国際宇宙ステーション)
お待たせしました! いや、お待たせしすぎたかもしれません~。

 6月10日にブログでお知らせした「新たなミッションISS拡大撮影(惑星カメラ・カラー編)」がついにスタートしました~。え、遅すぎるんじゃない?と思いの方も多いと思いますが、7月~8月はISS拡大撮影のベストシーズンで勝負所だったのであえてトライアルはしませんでした~。(天気が悪くて今年は惨敗でしたが…)

 で、空に秋の気配が来てベストシーズンが終わってしまったので、来年の夏に向けてカラー撮影のトライアルを始めたというわけです。

 さて、記念すべきファースト・トライアルのチャンスは、9月10日の早朝にやってきました。イベントデータを見ると空は星図になっていますが、太陽高度が-4.6°なので「昼光のため見えない通過」とHeavens-Aboveでは紹介されています。



 しか~し、ISSの光度は-3.8等もあるので見える可能性は十分あります。見えたらラッキー通過なのでテスト撮影には最適のイベントで、しかも直距離が452kmとかなりの好条件です。

 9月10日早朝は天気予報どおりの快星…、04時にセットした目覚ましで起きてゴソゴソと用意すること20数分… 4時30分にすべての準備が完了しました。

 撮影システムは30cmドブにPowermate2× …ここまではいつもと同じですが、カメラをUV/IRcut Fillter を装着したZWO ASI290MCに替えてあります。

 ASI290MCはASI174MMに比べて視野角が狭いのでPowermate2× を外すことも考えましたが、あえてハードルを高くしてどの程度追尾できるかもテストすることにしました。そして最大の悩みどころは露出です。これが全く分かりません。そこで今回はピント合わせに使ったリゲルで適正露出を想定することにしました。

 とりあえず今回は Shutterを0.863ms、Gainは300 (50%) で撮影することにします。

 さて、時刻は04時50分を過ぎました。今回は北西から南東へ向かうコースですが撮影場所からは北西40°まで屋根で死角になっています。う~む、空はすでにほぼ青空です。見えている星はシリウスだけですが… ホントに見えるのだろうか?と不安になりながら北西の空に目を戻すと…

  わぉ! スゴイ明るさでISSが迫っています。圧倒的な明るさです。即ファインダーで追尾開始です! おおー、肉眼では見えませんでしたがファインダーでは青空に消えかかる星々を背景にISSがものすごいスピードで空を通過していきます。ふひゃ~、夜空では見ることのできないキレイな眺めでプチ感動です~。

 ISSは最大仰角を過ぎると逆光になって急激に暗くなりました。ふう、撮影終了です。ファインダーで追尾中にチラチラとPC画面上に撮影中のISSが見えましたが、やや露出オーバーのようでした。冷静に考えると今回の露出は174MMの時とほぼ同じなので、これでは露出オーバーになるのは当然ですが全く気付きませんでした。反省です…。

 では、撮影した動画を見てみましょう。

動画①:2021年9月10日のISS(取り始めから天頂付近まで 15秒)
 


動画②:2021年9月10日のISS(後半部分 26秒)



SER Player 切り出しサンプル画像



サンプル画像①





サンプル画像②





サンプル画像③



〈考察〉
①追尾について
 ASI290MCの画角:0.11°×0.06° はASI174MMの画角:0.22°×0.14° と比較して面積比で1/4である。これほどの狭視野にも関わらず予想以上にキャプチャーできたのは追尾しやすかったコースだったというアドバンテージはあるが、正立ファインダーでの追尾は十分可能だと感じた。
②画質について
 ASI174MMの画素数:235万画素に対し、ASI290MCは210万画素なのでそれほどの差はない。解像度はどちらも1936×1096 で同じであるが、カラーカメラはベイヤー配列(RGGB)になっているので感度も解像度も悪くなると思っていた。ところが今回撮影した画像を見ると速いシャッターに対応できる感度を十分持っていることが分かった。今回の撮影で特筆すべき点は解像度である。全体的にみるとモノクロに比べ解像度の低い映像になっているが、上記のSER Player 切り出しサンプル画像のフレーム(ひとつ前のフレームを含む2フレーム)は驚愕の解像度でキャプチャーされていた。それを切り出したのがサンプル画像③である。この解像度で写っていたのは9000フレーム中のたった2コマであるが、全ての条件がそろえばASI290MCはこれほどの解像度を発揮できるポテンシャルを持っているということなのだろうか。さらにテストを重ねて明らかにしていきたい。
③次回への課題
 今回の撮影は言うまでもなく露出オーバーであるが、このことはゲイン感度を同レベルにすればシャッタースピードを落とせるということである。0.6msも可能かもしれないのでテスト撮影を重ねてベストマッチを探っていきたい。最大の課題は大気の揺らぎである。ASI290MCはASI174MMのようにシーイング対策のIR Pass フィルターを付けることはできないので別対策が必要である。ADCを付けることも考えているが高度60°以上では大気分散はそれほど影響ないので期待するほどの効果はないようにも感じる。究極の方法も思いついてはいるが、一笑に付される方法なので秘密で~す。(笑)

〈参考資料〉

現在のISS



250hPa(10km) 風速39m/s


500hPa(5500m) 風速14m/s


850hPa(1500m)) 風速4m/s


〈追記〉
 画像を再確認したところ緑色の断熱ブランケットで覆われたソユーズの軌道船と帰還船を
確認できたので写真を掲載しておきま~す。




過去ブログ↓
ISS画像 コンポジット(ステライメージ編)2021.6.10
ISS画像 コンポジット(AS!3でスタック編)2021.6.10
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その8 2021.6.2
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その7 2021.5.30
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その6 2021.5.15
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その5 2021.5.14
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その4 2021.4.7
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その3
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その2 2021.2.19~2021.3.12
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その1 2020.10.5



ISS拡大撮影(8/26)

2021年08月27日 | ISS(国際宇宙ステーション)
8月26日03時40分に通過したISS拡大撮影の記録で~す。

 8月としては記録的な長雨が続いたためISS拡大撮影は8/1以来の25日ぶりです。8月はISS拡大撮影のベストシーズンですが今年はそのチャンスがありませんでした…。

 さて、今回の通過は高度34°で地球の影から出現して最大仰角78°を通過して北東の空へと沈んでいく好条件のパスです。自宅から北西4kmの地点でISSの月面通過が見られましたが天気が不安定だったのでプチ遠征はキャンセルして拡大撮影に専念することにしました。





 こちらが現在のISSの状況です。8月12日にシグナス補給船(NG-16)がユニティーにドッキングしました。クルードラゴンは現在もハーモニーの天頂部にドッキングしていてハーモニーの船首部分には8月30日0時00分(JST)にカーゴ・ドラゴンがドッキングする予定になっています。カーゴドラゴンのリフトオフは8月28日16時37分(JST)の予定です。


 気になる天気ですが、02時までは気流も安定していて期待できたのですが03時を過ぎた頃から1等星が大きく瞬くようになり残念ながら気流は悪化してしまいました。

 下の動画はISSが地球の影から出る時刻の03時40分20秒にスタートした映像です。ご覧のように月周辺に雲があったので月をかすめるISSを見ることは出来ませんでした。 

 2021年8月26日03時40分のISS通過の様子(対角魚眼で撮影)


 さて、本日の拡大撮影ですがシステムはいつものPowermate2×+ASI174MM+IR Pass Filter(685nm)です。最近のISSは明るくなっていることとブレを軽減できるかをテストするためにシャッタースピードは0.757msまで下げて撮影してみます。GAINは300(75%)です。

 おっと、時報が03時40分20秒を告げました。ISSは雲の中を通過中のはずですが… おっ、来ました。
雲のムコウガワを通過する移動光点が見えました。拡大撮影開始です!

 ふう、撮影終了です。撮影開始時はすでに移動速度が速くなっていたので何度かロストしましたが何とか追尾できました。ファイヤーキャプチャーも今回は走ったようです。とりあえずは一安心です。

 で、こちらがその動画ですが、夏場の気流ではないですね。全然ダメです。SCWの予報で山沿いにショワルター安定指数0(ゼロ)値が出ていたので乱流があるかなーとは思っていましたが、その影響が出ているようですね。シャッタースピードの差はそれほど無いようです。


 さ~て、ここからが腕の見せどころ、究極の画像処理で解像度をアップさせていきましょう!
…と意気込んだのですが、ゆらゆらの画像でコンポジットが出来ないため本日はすべて1枚のみの画像処理です。う~ん、今回はこれが限界ですね。気流の影響でシャープさの無い画像となっています。

…ですが今回ハーモニーの天頂部にドックしているクルードラゴンを撮影できたのは収穫です。雲が無い状態で撮影できればハーモニー天頂部のクルードラゴンをもう少しクリアに撮影できたかもしれませんね。



 ↓こちらは最大仰角78°、直距離433kmを通過中のISSです。




 ↓こちらは天頂通過後の遠ざかっていくISSです。



 今回はラスベットにドッキングしているソユーズMS-18の太陽電池パドルが思いのほか良く写っていました。



 NASAが公表している写真はスゴイですね~。下記写真はオリジナルをトリミングしたものですがその解像度の高さに腰が抜けそうになりました。ナウカの太陽電池センサーのひとつひとつが手に取るように分かります。しかも撮影データの詳細も公表しているのですからその太っ腹さには頭が下がります。ISSの窓から見たらこんな風に見えるんだろうな~と疑似体験に浸ることができますね。

262 miles above the Kenya-Tanzania border on Africa's Indian Ocean coast.

2021:08:02 15:18:25
Nikon D5
16.0 mm f/2.8
ƒ/9.0 16.0 mm 1/1000 ISO250



〈撮影参考資料〉
250hPa(10km)


500hPa(5500m)


850hPa(1500m)









ISSの月面DayLight Passに挑戦!…その顛末記

2021年08月04日 | ISS(国際宇宙ステーション)
 8月4日午後の早い時間に仙台空港の近くでISSの月面DayLight Passがあります。
今日は天気もいいので早速出かけることにしましょう!レッツゴー


気持ちのいい夏空です! 山沿いで積乱雲が発生しているのがちょっと気がかりですが…


さて、撮影地はもうすぐですが近くに「きぼうの桜」があるらしいのでちょっと寄り道です。

 きぼうの桜はISSで宇宙飛行をした種から発芽した桜の子孫です。こちらの桜は西暦24年に日本武尊(やまとたけるのみこと)が手植えしたと伝えられている「山高神代桜」(山梨県北杜市)直系の桜のようです。山高神代桜は推定樹齢2000年の日本最古で日本最大の桜と言われています。

「ここ名取市は東日本大震災で甚大な被害を受けました。ここに偉大な一本桜の直系子孫を植えることで大震災の記憶と教訓を千年風化しない方法で子孫に残します。千年に一度と言われる大津波の記憶を樹齢千年以上の桜が三十一世紀の子孫に伝えます。」…とHPのプロジェクト概要に載っていました。
きぼうの桜・ワンアース


 三十一世紀という言葉は初めて聞いたなぁ、千年後の世界はどのようになっているのだろう? 少なくとも銀河系内での異惑星人交流はあるんだろうな~などと突拍子もない考えが頭に浮かび不思議な感じがしました。1000年後の世界… 想像がつきません。

 さて、きぼうの桜を後にして5分ほどで撮影地に到着しました。今日のシステムはポタ赤にミニボーグ60を装着して惑星カメラ撮り、フルサイズデジカメには600mm望遠レンズを装着してビデオ撮りをします。


で、こちらがフルサイズデジカメでテスト撮影したビデオ映像です。

月齢25.1 テスト撮影


すべての撮影準備を終えたころ…遠くからゴロゴロと雷鳴が…発生源はこの積乱雲のようです。


おっと、この雄大積乱雲は現在仙台市西部に猛烈な雨を降らせているようです。



こっちに来ないでくれ~と心の中で叫んだが…



その言葉が届くわけもなく…どんどん近づいてきます。



ヤバイ雰囲気です。


この積乱雲はキャノンのコンデジで撮影していますが… なかなかの解像度です~。


成層圏を飛ぶジェット機がくっきりシャープに写って積乱雲のコントラストも秀逸です。


…などと考えている場合ではありません! 左側の雲が月に届いたらアウトです。


積乱雲の勢いはだいぶ弱くなりましたが雲は少しずつ広がっています。雲よ止まれ~。


雲がばらけてきました。積乱雲はピークを過ぎて終末期に入ったようですが時すでに遅し…


願いもむなしくISS通過の30分前に月は雲のベールに隠されてしまいました。


やむなく撤収です。かくしてISSの月面DayLight Passは成果を残すこと無く終了しました。


えー、映像が何も無いのはさみしいので偶然撮影に成功(?)したジェット機の太陽面通過をご覧ください。ISSの代わりにどうぞ~(笑)


ジェット旅客機の太陽面通過!?


あー、太陽面通過というよりはジェット機による太陽掩蔽ですね。失礼しました~。ちなみにこの場所は仙台空港着陸ルート真下見学スポットといってGoogleマップにも載っています。手が届きそうなところをジェット旅客機が通過するので迫力ありますよ~。


↓関連ブログ
ISS月面通過、撮影失敗! 2011年7月23日
野口宇宙飛行士と星出宇宙飛行士が搭乗するISS撮影記録② 2021年5月20日

ISS拡大撮影(8/1)

2021年08月02日 | ISS(国際宇宙ステーション)
8月1日の20時過ぎにISSが仙台上空を好条件で通過していきました。

 雨上がり直後で望遠鏡が結露してしまう悪条件でしたが、この先しばらくは好条件の通過がないので撮影を決行しました。ナウカドッキング後のISS初撮影です。以下その記録で~す。

本日のイベントデータ



 最大仰角は83°で条件的には最良ですが湿度が高く透明度は非常に悪い状態でした。
天気はかなり不安定で、額に雨粒が落ちてきたような感じがして望遠鏡を出していいのか?と一瞬迷いましたが、迷ったときは進んだ方がたとえ失敗しても後悔はしないのでレッツGO!です。

 …と意気込んで設置したものの望遠鏡の鏡筒はみるみる結露するしファインダーも5分おきに拭かないと曇ってしまう状態です。鏡面の温度順応をさせたかったのですが撮影直前までは鏡筒に蓋をして鏡面保護です。

 今日のシステムはいつものASI174MM+IR Pass Filter(685nm)です。Shutterは0.883ms、Gainは300 (75%)にセッティングしました。透明度が悪いのでやや露出アンダーになるかもしれませんが画像処理を考えるとアンダーの方が直しが効くのでこのままにします。

 時間です。ISSがゆっくりとしたスピードで北斗七星を横切っています。今日の通過は北西→天頂→北東コースなので死角となっている屋根から出たところで撮影スタートです。

 屋根から出たときにはすでにスピードが速くなっているのでスムーズに導入できるかが本日のカギとなります。ふう、呼吸を落ち着かせて… 見えました! よし、うまい具合に1回目で導入追尾に成功しました。

 今日のコースは天頂通過後から最大光度となり低空までこの明るさをキープします。とても明るいパスです。

 ふう、撮影終了です。かなり長い時間追尾することができました。いい感じです。早速動画を確認してみることにしましょう。

 …? ありゃ… わぉ! がび~ん!! なんとノートPCが走っていません! 2分以上撮影していたのに記録されたフレーム数はたったの1409コマです。うわぁ~どこで止まった? なに?フレームレートが6FPS!? 大ショックです! 6FPSは1秒間に6コマしか撮影できなかったということを表しています。こりゃ全滅だ。たぶん何も写ってないだろう。

 というのもキャプチャーをスタートさせたのはまだISSが見える前です。スタート直後に止まっていればISSはまったく写りません。絶望感満載ですがとりあえず再生してみると…

 …ほひょ!? ふ~む そうですか~ PCはところどころでキャプチャーしていたようです。コマ送りのような変な画像ですが繋いで動画にしてみました。

2021年8月1日ナウカドッキング後のISS


…以上です! PCがうまく走っていればかなりいい感じの動画が撮れたはずですが…残念!

 撮影コマ数は少なかったのですが何枚か解像度の良い画像があったのでいつものように画像処理してみました。NAUKAの太陽電池パドルは確認できますが真下からのアングルなので本体は場所の確認といった感じです。

File.No.0912


2021/8/1 20h13m19.163s Shutter=0.883ms Gain=300 (75%)


File.No.0914


2021/8/1 20h13m19.178s Shutter=0.883ms Gain=300 (75%)


File.No.0989


2021/8/1 20h13m43.095s Shutter=0.883ms Gain=300 (75%)


File.No.1040


2021/8/1 20h13m55.398s Shutter=0.883ms Gain=300 (75%)

 今回の撮影は全体的に露出オーバーになっています。NAUKAと増設した太陽電池パドルでISSの輝度が上がっているかもしれません。今回のデータを元に次回の撮影の露出を検討することにしましょう。

ISS拡大撮影(7/16)

2021年07月19日 | ISS(国際宇宙ステーション)
ISS拡大撮影(7/16)



7/16のISS拡大撮影の記録です。

 梅雨明けした7月16日はISSの拡大撮影、その後は好気流の中での土星と木星の撮影を夜遅くまでやっていたので画像処理に負われてブログが滞ってしまいました。ふぅ、

 7月16日はかなりの好条件パスでした。

直距離は436kmで北の空を通過して行きます。

 距離が近いのに光度が-3.6等級しかないのは逆光コースになるからだと思われます。

 さて今回の撮影ターゲットはもちろん6月20日に設置された新しい太陽電池パドル
iROSA(ISS Roll-out Solar Array)です。これは左舷側(きぼうがある側)にある一番
外側の太陽電池パドルに設置されています。

 iROSAを写すには太陽電池パドルの向き具合によりますので今回は完全に運任せです。
撮影システムはいつもの 30cm(F5)+Powermate2×+174MM+IR Pass Filter(685nm)です。

 気になる天候ですが今回は雲の心配はありません。


 風速予報は下記のとおり。
250hPa(10km)の風速予報


500hPa(5,500m)の風速予報


 さて、時間です。見えてきました。ファインダーに導入して追尾しましょう。

 …ん!? なにかが変です。まもなく最大仰角になりますが、いつものように明るくなりません、-3.6等級にはほど遠く、-3等級に届いていない感じです。これでは完全に露出アンダーです。薄雲がややありますがそれほどではありませんので…??? う~む、消化不良を起こしたまま撮影終了です。

 早速、動画を確認してみたのですが、この動画を見たときは狐につままれたようで何が起きているのか全く理解できませんでした。通常南西-北-北東コースでは前半でISSが右上へ上昇して天頂を過ぎると右下へ下降するように飛行していきますが、今回の動画は始めから左上へに向かって飛行しています。その後は真上を向いて…いやクルードラゴンは真下にいます。なんと真下を向いています。真下を向いたままくるりと回って左上へ進んでいる? なんじゃ、こりゃ~、え、まさかの鏡像? プリズム使ってないよ~。
2021年7月16日19時52分のISS


 もう一度動画を見て理解できました。今回のISSはいつもと逆向き、つまり、ロシアモジュール棟が前方できぼう側を後方にして飛行していたのです。でも、どして? スペースシャトルがドッキングしているときはスペースシャトルの耐熱タイルを保護するためにこの向きで飛行していましたが、7月16日の逆向き飛行の理由は見当がつきません。ナウカのドッキングまたはスターライナーのドッキングに関係があるのでしょうか、謎です。




 今回も解像度の高い画像が複数枚撮れたので現在コンポジット処理中です。その写真は処理終了後にアップする予定です。