Con Gas, Sin Hielo

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「アクアマン」

2019年02月11日 13時40分21秒 | 映画(2019)
海をきれいに。


今年も授賞式が近付いてきたアカデミー賞。今年はアメコミヒーロー映画の「ブラックパンサー」が作品賞等にノミネートされたことが話題になっている。

娯楽作品が賞レースに上ることは初めてではない。時代の流れに乗れば戴冠の栄誉も可能であることは歴史から明らかである。

黒人がヒーローとして活躍する映画の出現と興行的な成功は、マイノリティと言われてきた人たちの活躍の場を広げる大きな一歩となった。

本作の主人公は、深海の王国の血筋を持つ王女と陸に住む普通の灯台守の間に生まれたという設定である。

平易な言葉で言えば海と陸のハーフ。しかし本作は声高に語る。ハーフではなく陸と海をつなぎ得る存在、つまりはダブルなのだと。

主役のアーサーを演じるJ.モモアは見た目だけで力強さやカリスマ性を伝えられる適役であるが、それと同じくらいハワイ生まれで先住民族の血を引いているという彼の出自が配役の決定打であったことは想像に難くない。

パートナーとなるゼベル国王女のメラも現代の女子らしく大活躍する。加えて言えば、アーサーの異父弟であるオーム王が陸上の人間たちを敵視するのは、あまりに海の環境をないがしろにするからという至極もっともな理由からである。まさに正しさのオンパレード。DCの興行もかなりこなれてきたと言えそうだ。

アクションもの、ヒーローものが乱立する中での本作の売りは、何と言っても映像技術を駆使した海中アクションである。確かに今までこれほど海をフィーチャーした作品はなかったからそうなのだろう。

ただ個人的には、イタリアのシチリア島でアーサーとメラが並行して屋根づたいに駆け回って繰り広げるシーンが一番良かった。海中だからというよりも面白いものは面白いわけで、それまで降りかかっていた眠気を一気に吹き飛ばすことができた場面であった。

全体を通して華やかで大作の風格がある作品である。海洋は宇宙に匹敵する最後のフロンティアとも言われており、本作に登場する7つの海底国家はそれをファンタジーとして見事に映像化してみせていた。

しかし残念な点もあった。何よりストーリーに意外性がほとんどなく退屈な時間が長かった。あらゆる登場人物の行動や反応が型通りなので、あの人がここで登場?!と驚かせたかったのだろうというところも完全に想定の枠内。脚本はまだ改善の余地がありそうだ。

興行としては世界的に大成功を収めているらしいので、今後の続篇やグレードアップ必至の「ジャスティスリーグ」に期待というところか。

(70点)
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