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「スパイダーマン:スパイダーバース」

2019年03月03日 14時41分44秒 | 映画(2019)
コミックス映画の革命。


T.マグワイア主演の第1作が公開されてまだ20年程度しか経っていないのに、実写版が2度リブートされて今度はアニメ版ときた。何故スパイダーマンはここまで製作者の新しい意欲を呼び起こすのか。

はじめはまたスパイダーマンなの?と思ったところもあったが、本作は、ディズニー・ピクサーの指定席だったアカデミー長編アニメーション賞を受賞するなど賞レースを席巻し批評家からの評価も非常に高い。IMAXでの先行上映とタイミングが合ったのでひと足先に映画館で体験してきた。

まずこの作品は過去の作品の焼き直しではない。まったく新しい立ち位置から描かれたスパイダーマンである。

スパイダーマンの魅力と特徴は何かと言えば、普通の高校生が突然ヒーローの能力を授けられるという点にある。

「大いなる力には、大いなる責任が伴う」。シリーズが変わっても常に現れるこの言葉は、ヒーローとしての戒めであるとともに一般の人間社会とも通底する重要な教訓である。

自らの役割と背負うべきものを自覚し大人へと成長していく主人公の姿は、同世代は自分のこととして、大人世代はかつて通った道として、すべての人が共感を抱く仕組みになっているのがスパイダーマンなのである。

今回の主人公はおなじみのピーターパーカーではない。マイケルモラレスは、黒人系でPost Maloneを聴いて街の壁にスプレーアートなんてしちゃういまどきの少年である。

モラレスの世界ではピーターパーカーのスパイダーマンが日々悪と戦い続けていたが、ある日彼は敵との戦いに敗れ命を落とす。

ここからピーターパーカーがいない、見たこともないスパイダーマンの世界が繰り広げられると思ったら展開はその遥か斜め上へ飛んでいった。

何故この作品はアニメとして作られたのか。描かれる世界観を見ればそれは明らかである。次元を超える荒唐無稽としか言いようがない話が、アニメの手法によって巧く頭の中に入り込んでくる。

吹き出しが画面に描かれ、スパイダーマンが何かを感じ取ると頭から波動の線が現れる。映画とコミックの垣根を軽やかにスイングするように渡っていくうちに、観る側もそのスピードに乗せられ疾走していく。

先進的で挑戦する作品。きらびやかで華やかな作品。遊び心にあふれた楽しい作品。そしてスパイダーマンの基礎をしっかり踏襲している作品。あらゆる形容詞が収まってしまう多彩な魅力に満ち溢れた映画である。

映画の可能性は無限に広がっていく。

(90点)
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