Con Gas, Sin Hielo

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「IT THE END/"それ"が見えたら、終わり。」

2019年12月01日 09時41分13秒 | 映画(2019)
タイムカプセルは誰にとってもほろ苦い。


2年前の同じ時期にサプライズヒットを記録した前作。ホラー版「スタンドバイミー」との声も上がるなど、単なる怖い映画とは違う作りが高く評価された。

続篇(Chapter2)の舞台は27年後。前作の最後で「またあいつが現れたら集結しよう」と誓い合った負け犬たちは、アフリカ系少年のマイクだけが町に残り、みんながそれぞれの人生を歩んでいた。

主人公たちが大人になって変わったのは、まずキャストが豪華になったこと。J.マカヴォイJ.チャステインといった名前が連なる。

しかしそれよりも最も変わった部分は、当然のことではあるがみんな大人になったということであった。

それぞれが子供の頃に持っていた劣等感はそれなりに克服されつつあった。吃音のビリーはよどみなくしゃべり、太っちょだったベンは筋肉質のたくましい体型に。家庭内虐待を受けていたベバリーは裕福な男性と結婚して経済的な不安からは解消されていた。

27年経って再びペニーワイズが現れた。その一報を受けたみんなは一様に戸惑う。

それはそうだ。あれから27年間継続して努力して現在の立ち位置をつかんだのに、なんで負け犬の頃に引き戻されなければいけないのか。お調子者のリッチーは反射的に嘔吐した。27年前の恐怖が一瞬で甦ったのだ。

しかしペニーワイズの出現は必然だった。それは、克服したと思っていた現実が実は砂上の楼閣に過ぎないことと一致している。故郷に戻ったビリーにほどなく吃音の症状が再発する場面は象徴的だ。

彼らはまだ本当に大人になってはいない。これから一人の人間として生きていくための試練として、再びペニーワイズが負け犬たちの前に立ち塞がる。

設定としては非常によく分かる。展開もおもしろい。負け犬たちのキャストも子供のころと頻繁に行き来するので、引き続き共感を持って観続けることができた。

ただ、もうこれはこの話の根本のところなのだが、なんである特定の人物の成長のために脇に居る人や関係ない人が犠牲にならなくてはいけないのかというあたりの理不尽さが、本作ではより顕著になっていた。

前作の犠牲者は、ジョージーは兄の過失、不良グループはある意味自己責任と説明ができるのだが、今回ペニーワイズが手をかける子供たちに目立った落ち度はない。

主人公たちが成長するために犠牲にさせられてしまったとでも言おうか、原作もこうだとすると少し問題あるよなと思ってしまった。

(75点)
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