Con Gas, Sin Hielo

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(新規)「ザウォッチャーズ」

2024年12月31日 10時55分21秒 | 映画(2024)
見つめていたい。


1983年に全米No.1の大ヒットとなったThe Policeの"Every Breath You Take"は、実は執拗に監視を続けるストーカーの歌だというのは有名な話である。

柔らかなメロディーに騙されがちだが、君のすべての呼吸をI'll be watching youと言われたら、ぞぞっと寒気がする。そう、"Watch"はいくつかある「見る」の中でも「監視する」の意味を強く含む単語なのである。

あのM.ナイト・シャマラン監督の娘、I.ナイト・シャマランがメガホンをとったということで一部で話題の本作。"Watchers"=監視者とは誰なのか?父親と同様にとんでもないものが大画面にばーんと登場してしまうのか?というあたりに関心を持ちつつ映画館へと足を運んだ。

主人公のミナを演じるのはD.ファニング。久々に見たが、少し擦れた感じの女性が似合うようになっていた。

何やら心に傷を抱えていて、目に力がなく、持て余した時間を電子タバコをふかすことで消費するミナは、知り合いからの依頼を受けて遠くの町までオウムを運ぶことになる。しかし、クルマはうっそうとした森の真ん中で突然動かなくなり、助けを求めに行ったミナは道に迷ってしまう。

もうすぐ夜が来る。ただごとではない物騒さに恐怖を感じるミナの前に年老いた女性が現れ、死にたくなければ付いてくるよう告げた。老女の後を追ってたどり着いたその場所は、大きな窓のあるコンクリートの箱部屋であった。

ミナを含む4人の人間は、箱の中で"Watchers"から常に見られている存在だと言う。彼らは何故人間を見るのか。そしてそもそも彼らの正体は何なのか。

本作には原作が存在するらしいが、不思議な設定を組み立てる手並みでは父親譲りの巧さを見せる。

更に、"Watchers"の見せ方に関しては、影や光の加減を使うなどによりあからさまにせず余白を持たせた形をとっている点で、父親よりも格調高い画面を作ることに成功している。

事前の印象からホラーを期待した人には物足りないかもしれないが、ファンタジーとして見れば、彼らの正体やその背景、ミナと"Watcher"が対峙するクライマックスの展開に疑いなく合点がいく。

何よりも、食傷気味になってもシリーズものの続篇やアメコミヒーロー絡みで商売せざるを得ない状況において、独自性を持った作品を作り続けることは非常に意義のあることであり、その流れを受け継ぐ逸材の出現を歓迎したい。

(75点)※6月30日10時55分投稿
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