Con Gas, Sin Hielo

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「シンプルフェイバー」

2019年03月21日 08時08分27秒 | 映画(2019)
劇薬の二人、触媒の関係。


独特の立ち位置で活躍する女優、A.ケンドリック

美人なんだけど「目を見張るような」まではいかない、どことなく垢抜けない感じが残る風貌(個人的感想です)。ただそれが他にはない個性となって、彼女が最もハマる役柄が次々に舞い込んでくる。

「マイレージ、マイライフ」の新入社員も、「ピッチパーフェクト」のベッカも彼女を上回る配役は考えられない。後者では曲もヒットさせる多才ぶりである。

本作の冒頭では、そんな彼女が演じるステファニーが投稿するブログの映像で始まる。誰が興味を持つのか分からない少し痛い映像の中で彼女は親友の失踪を打ち明ける。

「親友」のエミリーはステファニーとは対照的な人物として描かれる。B.ライブリーはA.ケンドリックと同世代ではあるが、身長やら髪の色やら見かけやら確かに正反対。そんな二人は、子供の学校の関係からお互いの秘密をしゃべり合う関係になる。

中盤で行方不明だったエミリーは死体となって発見される。最も怪しくしたたかそうに見えたキャラクターの退場は、観る側はの立ち位置を一気に不安定なものとさせる。

更に一生懸命キャラのステファニーがエミリーの夫・ショーンに惹かれはじめると、誰の立場に寄り添って話に付いていけばよいのかまったく分からなくなる。

この3人の関係は2対1の構図で目まぐるしく入れ替わる。誰と誰が味方で誰が敵なのか?この事件の本質はどこにあるのか?サスペンスでありながら恐怖というよりは小気味いい展開なのは、3人のキャラクター、特にステファニーによるところが大きい。

シングルマザーで経済的に豊かなわけでもない彼女は、育児だけでも大変なのにせっせとブログを更新する。今の境遇に落ち込んだり不平を言ったりするのではなく、あくまで前向きに生きる姿がエミリーやショーンとの向き合い方にも生きてくる。

エミリーもエミリーで不遇な生い立ちを補って余りある上昇志向でのし上がってきた。そんな二人の女性の対決がおもしろい。実はこの二人、対照的なようでとても相性が良いのだ。

ラストにひとまず決着がつくが、暫定の白黒で敗れた側もまったくへこたれていないところが、流れる音楽と相まって奇妙な爽やかささえ感じられた。

(75点)
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