Con Gas, Sin Hielo

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「胸騒ぎ」

2024年05月16日 21時06分55秒 | 映画(2024)
見ると不幸な気分になる。


なんでもあの「ファニーゲーム」に匹敵する衝撃だそうである。

事前の情報からバッドエンドが分かってしまうのはある種のネタバレではあるが、一抹の期待を持ちながら観て打ちひしがれるよりは精神衛生上良いのかなと、覚悟をしながら映画館へ足を運んだ。

あらすじもそれなりに知っていて、旅先で出会って仲良くなった家族に招待を受けて遊びに訪れるが、とんでもない悪夢の週末になるという話である。

「ファニーゲーム」は前半から青年二人が異常性と不快指数をMAXにするが、本作で主人公・ビャアンの一家を陥れるオランダ人夫妻は、はじめは極めてフレンドリーに振る舞う。だからこそビャアンたちは、数か月前の夏の良い思い出のリピートを期待して、自ら悪夢へと足を踏み入れていったのだ。

ただ、少しずつオランダ人夫妻・パトリックたちとの間に違和感が生じていく。ベジタリアンだと知っているはずなのにイノシシの肉を執拗に勧めてきたのを手始めに、娘・アウネスの寝床、会食での熱過ぎるダンス、ドライブでの大音量音楽と、積み重なる筋違いのおもてなしに一気にストレスが溜まり、ビャアンたちは夜明け前にこっそりと家を抜け出す。

しかし、ここでアウネスのお気に入りのぬいぐるみがなくなっていることに気付き、仕方なくUターン。起床していたパトリックたちの謝罪と説得を受けて滞在は継続することになってしまう。

「必ず最高の一日にするから」というパトリックの言葉のとおり、改めて開放的な田舎の暮らしを楽しむが、それは一瞬のこと。昼食後にアウネスと、パトリックの子供・アベールがダンスを披露するという場になって、突然に家の中の空気が修羅場と化す。

舌がなくて話すことができないというアベールの存在が物語の鍵となるのだが、前評判どおりオランダ人夫妻の胸糞悪さはかなりのものである。アウネスとアベールという二人の幼気な子供が不幸な目に遭うのもげんなりする。

原題が"Speak No Evil"でもあり、理解不能な悪魔と解釈するのが妥当なのだろうけど、それにしてはまわりくどい部分が多いとも思った。

パトリック夫妻の目的が最後に明らかになる「あれ」であるならば、ビャアンたちを招き入れた時点で豹変してもおかしくないところを、何故違和感を小出しにしていたのか?ビャアンたちの振る舞いによっては無事に帰れるシナリオが存在したのか?

ビャアンたちがパトリック夫妻の意に沿わなかったのが不幸の原因とするならば、未遂に終わったとはいえ一時的に逃亡できたのは何故なのか?ぬいぐるみの件がなくても結局は逃げられない手筈になっていたのか?

重箱の隅なのかもしれないが、小さな違和感が積み重なって・・・というのは邦題にもつながっている本作のポイントでもあり、ご都合に思われないよう、故意ではない違和感は少なくしてほしかったというのが正直なところ。

J.マカヴォイ主演でのリメイク製作が決定しているという話だが、どうなることやら。

(65点)
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