跡継ぎにふさわしい純粋な心があったのかどうかはやや疑問。
アベンジャーズが一段落した転換点ということでアメコミヒーロー映画の歴史を振り返ったばかりだが、市場の盛り上がりとともに最近顕著に見られるのがヒーローの多様化である。
「バットマン」が成功したときはアメコミのヒーローが持っている陰の部分に注目が集まった。それ以前の万人に評価される優等生というヒーロー像に対するギャップは、ヒーローものを大人の鑑賞に堪えられる、むしろ大人こそ観るべき作品として一気にファン層を広めたと記憶している。
「X-MEN」シリーズもミュータントという変異を陰の資質として捉えて、その逆境を乗り越えていく過程が共感を呼んだ。ミュータントの種類は多種多様で映像的にも見応えがあり非常に映画向きの題材であった。
そして現在。MCUとDCが競い合って製作を続けるヒーロー映画は、出自や能力といった内面を抜け出て、性別や人種といったそもそもの入口の多様性にまで発展してきた。
本作の主人公は中学生のビリー。幼い頃に遊園地で母親とはぐれて以来、いくつもの里親の家を転々と移り住む生活を続けている。ある日、異世界の魔術師・シャザムに見出されて全能を有する大人の肉体を授けられる。
魔術師の能力を受け継いだはいいがビリーの中身は中学生のままであり、大き過ぎる能力を使いこなせるはずもなく、同じ家に住んでいるフレディと動画投稿やいたずらに明け暮れる。
つまりこのヒーローの特徴は大人の体を持った子供ということである。MCUでいえばスパイダーマンの立ち位置に近いかもしれない。となると展開としては、一人の少年がヒーローとして大人として生きるための責任に目覚めていく成長物語に必然的に落ち着くこととなる。
前半はコメディー要素が強い。ビリーたちが能力の凄さに驚きはしゃいでる様子はお気楽で楽しく見ていられる。変身したシャザム役のZ.リーヴァイの風貌が、失礼ながらちょっと抜けている感じでハマっていたのも大きい。
しかし平和な時は長く続かず、中盤以降は能力を奪おうとするスーパーヴィランのM.ストロングの波状攻撃に晒される。攻撃を受けながらビリーは、自分が今いる場所はどこか、今何ができるのか、そして何故この能力が与えられたのかを考え答えを出していく。
ヴィランが操る七つの大罪の怪物に知識も経験もないビリー=シャザムがどう立ち向かうのだろうと思っていたが、突然の里子たちの目覚めに驚かされた。この子供たちも多様性の申し子のような構成であるが、彼らの大活躍で映画としては収まりよく後味よく決着を迎える。
物語の設定も配役もまとまっている。他のDCコミックスヒーローの存在も話の途中にちょいちょい出てくるので、シリーズを橋渡しする役割としても機能している。
DCのメンバーもようやく揃いつつある。しかも敢えてか知らないが、MCUと比べてあまりビッグネームがいない印象もある。今後腰を落ち着けて「ジャスティスリーグ」の再興へ繋げていってほしいものである。
(75点)
アベンジャーズが一段落した転換点ということでアメコミヒーロー映画の歴史を振り返ったばかりだが、市場の盛り上がりとともに最近顕著に見られるのがヒーローの多様化である。
「バットマン」が成功したときはアメコミのヒーローが持っている陰の部分に注目が集まった。それ以前の万人に評価される優等生というヒーロー像に対するギャップは、ヒーローものを大人の鑑賞に堪えられる、むしろ大人こそ観るべき作品として一気にファン層を広めたと記憶している。
「X-MEN」シリーズもミュータントという変異を陰の資質として捉えて、その逆境を乗り越えていく過程が共感を呼んだ。ミュータントの種類は多種多様で映像的にも見応えがあり非常に映画向きの題材であった。
そして現在。MCUとDCが競い合って製作を続けるヒーロー映画は、出自や能力といった内面を抜け出て、性別や人種といったそもそもの入口の多様性にまで発展してきた。
本作の主人公は中学生のビリー。幼い頃に遊園地で母親とはぐれて以来、いくつもの里親の家を転々と移り住む生活を続けている。ある日、異世界の魔術師・シャザムに見出されて全能を有する大人の肉体を授けられる。
魔術師の能力を受け継いだはいいがビリーの中身は中学生のままであり、大き過ぎる能力を使いこなせるはずもなく、同じ家に住んでいるフレディと動画投稿やいたずらに明け暮れる。
つまりこのヒーローの特徴は大人の体を持った子供ということである。MCUでいえばスパイダーマンの立ち位置に近いかもしれない。となると展開としては、一人の少年がヒーローとして大人として生きるための責任に目覚めていく成長物語に必然的に落ち着くこととなる。
前半はコメディー要素が強い。ビリーたちが能力の凄さに驚きはしゃいでる様子はお気楽で楽しく見ていられる。変身したシャザム役のZ.リーヴァイの風貌が、失礼ながらちょっと抜けている感じでハマっていたのも大きい。
しかし平和な時は長く続かず、中盤以降は能力を奪おうとするスーパーヴィランのM.ストロングの波状攻撃に晒される。攻撃を受けながらビリーは、自分が今いる場所はどこか、今何ができるのか、そして何故この能力が与えられたのかを考え答えを出していく。
ヴィランが操る七つの大罪の怪物に知識も経験もないビリー=シャザムがどう立ち向かうのだろうと思っていたが、突然の里子たちの目覚めに驚かされた。この子供たちも多様性の申し子のような構成であるが、彼らの大活躍で映画としては収まりよく後味よく決着を迎える。
物語の設定も配役もまとまっている。他のDCコミックスヒーローの存在も話の途中にちょいちょい出てくるので、シリーズを橋渡しする役割としても機能している。
DCのメンバーもようやく揃いつつある。しかも敢えてか知らないが、MCUと比べてあまりビッグネームがいない印象もある。今後腰を落ち着けて「ジャスティスリーグ」の再興へ繋げていってほしいものである。
(75点)
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