将棋と囲碁とは親戚のようなものですが、将棋の天才、芹沢博文八段と囲碁界の最高峰に君臨した藤沢秀行名誉棋聖とは親交が厚く、ともに酒を愛し競輪を愛した仲です。そんな二人にまつわる武勇伝や逸話は数多くあります。
ある時、藤沢名誉棋聖が芹沢八段に問いました。
「芹ちゃん、オレたちは、はたして自分たちの生きている世界(囲碁、将棋界)をどの程度わかっているだろうか。全部を百とすれば、いかほどだろう?」
二人は、その答を互いに紙に書くことにしたそうです。
将棋界の鬼才は「六か七」と書きました。
一方の囲碁界の天才は「三か四」と書きました。
それを見た芹沢八段は、「オレはなんて思い上がっていたのだろう」と、恥じ入ったといいます。勝負の神様を百として、それと比べることを思いついた二人にも驚きました。その世界の天才たちが、三から七と一割にも満たない数字で己を認識していたのは、妥当なことかも知れません。藤沢名誉棋聖の数字を見て反省した芹沢八段も謙虚だと思います。
最近、コンピューターが将棋のプロ棋士に勝ったというニュースがありました。コンピューターも将棋の神様に少しずつ近づいていると言えるかも知れません。羽生善治永世名人が昔、語った言葉があります。
「チェスの世界で、コンピューターが強くなったということは、人間がそれだけチェスを理解できているということです。将棋のほうは、まだ真に強いコンピューターが作られていませんが、それは人間が将棋のことをまだ理解できていないことを意味しているんです。」
芹沢八段が謙虚に反省したのも頷けることです。
大矢順正 「羽生善治 頭の鍛え方」 三笠書房
ある時、藤沢名誉棋聖が芹沢八段に問いました。
「芹ちゃん、オレたちは、はたして自分たちの生きている世界(囲碁、将棋界)をどの程度わかっているだろうか。全部を百とすれば、いかほどだろう?」
二人は、その答を互いに紙に書くことにしたそうです。
将棋界の鬼才は「六か七」と書きました。
一方の囲碁界の天才は「三か四」と書きました。
それを見た芹沢八段は、「オレはなんて思い上がっていたのだろう」と、恥じ入ったといいます。勝負の神様を百として、それと比べることを思いついた二人にも驚きました。その世界の天才たちが、三から七と一割にも満たない数字で己を認識していたのは、妥当なことかも知れません。藤沢名誉棋聖の数字を見て反省した芹沢八段も謙虚だと思います。
最近、コンピューターが将棋のプロ棋士に勝ったというニュースがありました。コンピューターも将棋の神様に少しずつ近づいていると言えるかも知れません。羽生善治永世名人が昔、語った言葉があります。
「チェスの世界で、コンピューターが強くなったということは、人間がそれだけチェスを理解できているということです。将棋のほうは、まだ真に強いコンピューターが作られていませんが、それは人間が将棋のことをまだ理解できていないことを意味しているんです。」
芹沢八段が謙虚に反省したのも頷けることです。
大矢順正 「羽生善治 頭の鍛え方」 三笠書房