yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

凱旋上奏文

2014-11-17 05:26:37 | 文学
明治時代 規範となる日本文を書いた文章家は、夏目漱石、森歐外、正岡子規らですが、秋山真之も天才的な一人といわれます。日本海海戦からの凱旋を天皇に上奏した凱旋上奏文もその一つです。

客歳二月上旬、聯合艦隊ガ、大命ヲ奉ジテ出征シタル以来、茲ニ一年有半、、、今日復(ふたた)ビ和平の秋(とき)ニ遇ヒ臣等、犬馬の労ヲ了(お)ヘテ大纛(たいとう)ノ下ニ凱旋スルヲ得タリ。以下略

客歳は去年の意
大纛は天皇旗の意
簡潔にして明快です。

また、日本海海戦の報告文もあります。膨大な報告文の冒頭は一個の結論から始まっています。
天佑と神助ニ由リ、我ガ聯合艦隊ハ五月二十七、八日、敵ノ第二、第三聯合艦隊ト日本海ニ戦ヒテ、遂ニ殆ド之ヲ撃滅スルコトヲ得タリ

 聯合艦隊が解散する時に東郷平八郎が読んだ「告別の辞」は特に有名であり、各国語に翻訳されました。アメリカの大統領、セオドア・ルーズヴェルトはこれに感動し、全文をアメリカの陸海軍に配布しました。秋山の文章は漢文脈の格調を籍(か)りつつ欧文調の論理をとりいれていたので翻訳に困難がともなうことがなかったということです。


     司馬遼太郎「坂の上の雲 八」文春文庫
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする