人魚構文というものを紹介します。上半身が人で下半身が魚のように、種類の異なるものがくっついて一つの文になるーーこれが「人魚構文」と呼ばれる奇妙な表現です。
例えば「太郎は明日、大阪に行く予定です」という文につき、言語学者の角田大作氏は、20年ほど前に「奇妙な文だな」と思ったそうです。太郎は人間なのに、「太郎は予定です」と表現するのは意味の上でおかしい。文の構造も変わっています。前半は「太郎は行く」という動詞述語文で、後半は「予定です」という「名詞+です」という名詞述語文です。このような人魚のような構文は英語にはないそうです。(英語では、Taro has a plan to go to Osaka tomorrow. と明晰に表現します。)
角田氏はこの表現を人魚構文と名づけました。
たとえば「雨が降っている模様です」(判断の根拠)。「本を読んでいるところです」(現在進行形)など五つのグループに分類できるということです。(私などは、人魚構文のどこが奇妙なのか、よくわからない気もしますが)
こうした人魚構文のある諸言語を調査したところ、日本語、アイヌ語、朝鮮語、中国語、モンゴル語、ビルマ語、ネパール語、タガログ語、ヒンディー語など20カ国の言語に、人魚構文が確認されたということです。東アジア以外ではエチオピアのシダー語だけ。ヨーロッパには無いそうです。こうしたことから、東アジアを一つの言語地域としてとらえることが可能との考え方もあるそうです。
白石彰彦 「朝日新聞」 2013.3.5
例えば「太郎は明日、大阪に行く予定です」という文につき、言語学者の角田大作氏は、20年ほど前に「奇妙な文だな」と思ったそうです。太郎は人間なのに、「太郎は予定です」と表現するのは意味の上でおかしい。文の構造も変わっています。前半は「太郎は行く」という動詞述語文で、後半は「予定です」という「名詞+です」という名詞述語文です。このような人魚のような構文は英語にはないそうです。(英語では、Taro has a plan to go to Osaka tomorrow. と明晰に表現します。)
角田氏はこの表現を人魚構文と名づけました。
たとえば「雨が降っている模様です」(判断の根拠)。「本を読んでいるところです」(現在進行形)など五つのグループに分類できるということです。(私などは、人魚構文のどこが奇妙なのか、よくわからない気もしますが)
こうした人魚構文のある諸言語を調査したところ、日本語、アイヌ語、朝鮮語、中国語、モンゴル語、ビルマ語、ネパール語、タガログ語、ヒンディー語など20カ国の言語に、人魚構文が確認されたということです。東アジア以外ではエチオピアのシダー語だけ。ヨーロッパには無いそうです。こうしたことから、東アジアを一つの言語地域としてとらえることが可能との考え方もあるそうです。
白石彰彦 「朝日新聞」 2013.3.5