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山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

佐渡一国を味わう旅を終えて(4)

2015-07-10 04:22:19 | くるま旅くらしの話

◇佐渡の大自然の味わい

芸能のことから離れて味わう佐渡の大自然では、一番はやはり大野亀に自生するトビシマカンゾウの花たちだったと思う。ニッコウキスゲやエゾキスゲなどのカンゾウ類の花は、全国の幾つかの群生地を見て来ているが、佐渡のトビシマカンゾウの花を見るのは初めてだった。ニッコウキスゲよりは少し大きめの、そして花の色は同じ鮮やかな橙色の美しい花を咲かせていた。日本海の厳しい寒風や氷雪に晒される、佐渡外海府海岸絶壁の上で生き続けるこの植物には、花の優しさからは想像も出来ない逞しい生命力が潜んでいるのだと思った。最盛期を少し過ぎてはいたけど、彼らが命の花を咲かせてる様を存分に楽しむことができて満足だった。カンゾウたちに混じってミヤマラッキョウの花が見られたのもラッキーだった。

    

    トビシマカンゾウの花。群れ咲くのもいいが、一株の個体の花も逞しく美しい。

それからもう一つは大自然の中で逞しく生き続けている羽吉の大桑との再会の感動がある。9年前に初めて会った時のその巨大な山桑の樹は、まだ若葉をつける前の季節だったこともあって、疲れ果てたよぼよぼの老人のような幹を天に晒したような姿だったので、大丈夫なのかと心配したのだが、今回は実こそつけてはいなかったけど、幹を包んで目一杯茂らせた若葉に、千三百年の生命の輝きを放っていた。この樹は、勿論自分などよりははるかに長く、これからも数百年は生命を長らえるに違いない。又それ以上であって欲しい。そのための条件としては、佐渡の自然環境が悪化せずに維持できなければならないのだと思う。そして、それは人間の暮らしぶりにかかっているのだ。

   

羽吉の大桑。遠くから見ると、とても千三百年の樹齢の木とは思えない若々しさがみなぎっている。

それから樹木では、佐渡市の「市の木」に指定されているアテビを知ったのも嬉しいことだった。市の木に指定されているのに、それが何処にどんな姿であるのかを知らないというのは残念である。アテビが「当桧」と書くことを知って、その姿を想像することができたが、市は、存外不親切だなと思った。市の木の実物を紹介している場所が不明なのだ。それがどんな木なのかを、若い市民たちは知っているのだろうかという疑問もある。樹木は自然環境の守り神だと思う。佐渡の自然環境を支える中心となって来たアテビに、そして一時の住宅建築ブームの犠牲になったままの市の木の再生に、市はもっともっと力を入れて欲しいと思った。

佐渡には豊かな自然が残っている。生き物としての樹木や野草などを取り上げたが、その他にも伝説がらみの自然そのものが随所に点在している。佐渡には幾つもの伝説が伝わっているようだが、次に訪ねる時には、伝説を拾うのも面白いなと思った。今回は初めて小佐渡の海岸を両津から小木まで辿ったが、その途中には如何にも伝説が残りそうな場所が幾つかあった。その中で、赤亀岩というのがあった。比較的最近に説明板が作られたらしく、立派な岩に次のように由来が書かれていた。

「水津の漁師越後屋が漁に出て大時化(しけ)にあい、針路を失った時、大きな亀が現れ、舟はその背に乗り港に入ったという。越後屋はの人達と話し合い、その岩に赤亀と名付け、岩上に祠を建てた。赤亀は、舟を通す洞穴という意味で、別名『あき亀』とも呼ばれ、『佐渡巡村記』にも記されている」

     

赤亀岩の景観。亀の胴体の下が洞穴となっている。天然記念物といってもいいように思った。

何だか判りにくい話だったが、現地にある岩を見てみると、なるほどとうなづける雰囲気があった。大自然の作りだした不思議な景観は、人々の心に想像力を掻き立て、様々な伝説を生みだしているのかもしれない。

 その少し先の松ヶ崎という所では、日蓮上人が幕府の怒りを買って佐渡に流された時に、初めて土を踏んだ場所として、その日の一夜を明かしたというケヤキの大木が残っており、人々は「おけやき」と呼んで敬っているのを知った。このような大木が残っているのも、佐渡の自然の豊かさだなと思った。

     

日蓮上人が佐渡配流の初日にこの欅の下で一夜を過ごされたという大木は、枝の一部を失っていて、痛々しく見えた。

 この他、七浦海岸の夫婦岩をはじめ、佐渡の沿岸部には無数の断崖絶壁、奇岩等が続いており、厳しさも窺える島なのである。まだ、大佐渡の山中や小佐渡の山間部には行っていないので、それらを訪ねたら新しい発見があるのかもしれない。しかし、もはや老人であるため、好奇心はあっても無理は利かないので、可能な範囲の中でこの後も楽しんで行きたいと思っている。

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