山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

野付半島(2)原生花園の花たち

2009-09-28 00:32:14 | くるま旅くらしの話

昨日は暗い話をしましたので、今日は明るい話をすることにします。昨日のトドワラが地獄であれば、今日の原生花園は天国といえます。しかもこの両者は隣り合っているのです。原生花園の細い散策の道を歩いてゆくと、その先端がトドワラとなっているのですが、原生花園の中は野草の天国で、数多くの天使たちがその美しさをそれぞれの形で表わし、競っているようでした。それらの中から、幾つかを紹介したいと思います。

*野付半島原生花園風景

    

ネイチャーセンターからトドワラに至る3kmほどのエリアは、両端を干潟のような海に囲まれた原野が広がっており、それを原生花園と呼んでいます。この原野の中には、様々の野草や背丈の低い潅木などが密集しており、そこには季節によって色とりどりの花が咲き乱れるのです。 

*チシマフウロ(千島風露)

   

北海道ではどこにでも見られる愛らしい花です。フウロと呼ばれる花には、何種類かがありますが、このチシマフウロはそれらの花の中でも一番身近に見られる正統派のフウロだと思います。最近では守谷の辺りでもアメリカフウロと呼ばれる外来種を多く見かけるようになりましたが、それに比べると断然の風情があります。

フウロとは、風露と書き、この花の持つイメージにぴったりの和名だと思います。今回の野付では、既に開花の最盛期を過ぎており、数は少なかったですが、その美しさは変わらないなと思いました。 

*ナミキソウ(浪来草)

 

草丈は30cmくらいで、薄紫の唇形の花をつけたその姿は楚々たるものですが、良く見るとある種の濃艶さのようなものも感ずるのです。唇形の花の殆どは、シソ(紫蘇)科の植物のようです。このナミキソウもシソ科に属しています。シソの花を見たことがありますか?シソの花も虫眼鏡で見ると、立派な唇状花なのが判ります。タツナミソウなどはこのナミキソウに花の形が良く似ていますが、勿論シソ科です。この両者に共通している「ナミ」というのは、その花の形が浮世絵などに描かれた浪の形に似ているところから付けられたようです。

*センダイハギ(千代萩)

 

萩という名が付いていますが、勿論萩とは別の種類の植物です。萩は確か草ではなく、木の仲間ではなかったかと思います。センダイハギはマメ科の植物で、黄色の花を咲かせ、花が終ると豆の入った莢(さや)を下げるのだと思いますが、まだそれを確認したことはありません。図鑑では春の野草の部に入っているようですが、野付の原生花園では、まだ結構多くの花数が見られました。

*カワラマツバ(河原松葉)

    

この野草も原生花園には多く見られるものです。地味な存在で、黄色い小さな花の固まりは、ちょっと目にはそれが花なのか判りにくい感じがします。名前のカワラマツバは、河原のような場所にあって、その葉が細く尖っているような形で、松の葉に似ているところから名付けられたようです。

*ハマナシ(浜梨)

   

海道のハマナシは有名です。ハマナスと呼ぶこともあるようです。ハマナシも野草ではなく潅木のようで、野草図鑑には掲載されていません。野付を訪れた8月の初めは、もう開花期は殆ど終わりに近づいていて、青い実や既に色づいた実をつけているものもありました。花も綺麗ですが、その実の朱色も美しいと思います。ハマナシの実でジャムを作ることができると聞いていますが、今度長期滞在するチャンスがあった時には、相棒に是非作ってもらおうかなと思っています。

*ノハナショウブ(野花菖蒲)

    

この花がアヤメなのか、それともノハナショウブなのか判別に迷いました。アヤメよりも花びらの黄色い部分が小さくてスッキリしているので、これはノハナショウブだろうと判定しました。もしかしたら間違いかも知れません。アヤメの仲間はみな似たような花が多くて、その判別は難しく、時々あまり神経質にならずに皆アヤメでいいんじゃないかなどと思ったりします。根室半島や霧多布あたりの湿原一体には、ノハナショウブやアヤメの大群落があり、初夏に訪れると一面が紫色に染め上げられた原野を見て感動します。今回の野付半島では、咲き遅れたのか、奇跡的に残って花を咲かせていた数本を見かけただけでした。

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