山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

イマダサクラサカズ

2008-04-05 07:01:30 | 宵宵妄話

 今、我家の周辺は、四方八方桜満開です。守谷という所には、わざわざ江戸の墨堤などへ出向かなくても桜を楽しむ場所はたくさんあるのですが、それでも他所(よそ)に出かけるというのは、桜にかこつけての何がしかの欲望があるからなのでありましょう。

 観桜の名所はたくさんありますが、私が密かに夢に描いている一箇所があります。それは我家の庭なのです。生きている間の最高の贅沢は、我家の庭にある一本の桜の花を愛でながら、親しき友と心行くまで盃をかたむけることだと、勝手に思っているのです。

その実現ために、一般的には植えてはならないと言われている桜の木を庭のど真ん中に植えました。東北各地を走り回って、秋田県の上小阿仁村という所で、やっとオオヤマ桜の苗木を見つけて買って来ました。オオヤマ桜に拘(こだわ)ったのは、東北の山の自然を彩る桜の美しさを、この桜に見出したからでした。3本の小さな苗木のうち1本を庭に植え、残りの2本は故郷の畑地に植えてあります。

三年目になった庭の桜は、幹周りがようやく10cmを超え、高さも3mほどになったのですが、まだ花を咲かせる力はなさそうで、ひょろりと空に向かって伸びています。自分が、あと20年生きることが出来たとしても、この木はそれまでに花を咲かせてくれるのか、その花の時まで親しき知人は生きていてくれるのだろうか。お酒を飲む力が残っているのだろうか。等々の不安がよぎるのですが、なるようにしかならないのがこの世の定めですから、夢を見るだけで充分なのかも知れません。

満開のオオヤマ桜の木の下に畳を敷いて、盃に注いだ温(ぬる)燗の酒に花びらを一、二輪浮かばせ、お互い生きていることの喜びをかみしめながら、ことば少なく語り合えたら最高だと思います。そのときには、家内には、ほんの少し野草の天ぷらなどを揚げて貰いたいと思っています。材料には、春蘭の花と白花タンポポの葉、それにカタクリの花びらなどが相応しいと思います。宵の月が頭上にあれば最高ですね。

「春宵一刻値千金(しゅんしょういっこくあたいせんきん)」の蘇武の詩の風情を、我家の庭先で体現してみたいと密かに思っているのですが、話してしまえば、密かではなく、只の凡夢となってしまったようです。それにしても我家の庭のサクラは、幼くてイマダサカズのままであります

   

3年経ってようやくここまで来た我が家のオオヤマザクラの苗木。花の下の宴は、夢のまた夢か?じっと待つだけです。

コメント
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