東京多摩借地借家人組合

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更新料契約書に明確な支払合意なければ支払い義務無し 東借連が更新料問題で学習会

2010年06月18日 | 契約更新と更新料
 東借連は5月26日に「更新料問題学習会」を開催し、多摩借組から6名が参加しました。

 講師の東借連常任弁護団の西田弁護士が「借地借家の更新料をめぐる裁判例」と題して1時間にわたり講演しました。西田弁護士は、更新料は法律上根拠のないもので、更新料を支払う慣習もないとの判決(最高裁昭和51年10月1日、東京地裁平成5年9月8日、同平成7年12月8日の判決)を紹介しました。

 更新料支払合意の有効性を認めた最高裁判例(昭和59年4月20日)があるが、これは調停で更新料の合意を履行しなかった事例で、過去に無断増改築や無断転貸など違反行為があったもので、あまり参考にはならないと指摘しました。

有効性認めた判決は借家に多い

 更新料の有効性を認めた裁判例の多くが、借家の賃貸借で期間も短く、契約書に明確な更新料の規定がある場合が多い。例えば家賃の1ヶ月分の更新料を支払う、地代の3年分の更新料を支払う等が多い。しかし、借地の場合は契約書に記載があっても、その基準、金額等明示がない場合は更新料の合意は明確ではないので更新料を言われるままに支払う必要はない。借地契約では、更新料の規定があっても法定更新の成立が認められれば、更新料の支払がないことを理由として法定更新の適用を排除することはできない(東京地裁昭和55年5月14)とした判決が紹介されました。

更新料支払特約あっても交渉しよう

 西田弁護士は、借家の更新料の支払義務のある契約でも、平成13年4月1日以降に結んだ契約で消費者の権利を制限し、消費者の義務を加重する消費者契約条項で、民法第1条第2項の信義誠実の原則に反し、消費者の利益を一方的に害するものは、消費者契約法第10条で無効にすることができるようになったことを説明しました。

 更新料をめぐって京都・大阪で20件の裁判が争われ、大阪高裁で2件が更新料無効、1件が更新料有効と判断が分かれている。なぜ判断が分かれるのか、西田弁護士は「法律の判断は一義的でなく、多面的解釈されるので、裁判官によって更新料の金額が過大ではないといったり、過大であるといったりする」と説明。最高裁がすんなり無効とするかどうか怪しいと指摘しました。

 今後の取組みとしては、更新料の金額が明確に明示されていない場合は、更新料の支払義務はないと主張してよい。しかし、契約書で更新料支払義務があり、家賃の1ヶ月~2ヶ月程度の場合は相手側が債務不履行で明渡しを求めてきている場合には、本人が明渡しができない困難な事例の場合は慎重に対応し、全面拒否ではなく、金額を負けさせるなどまずは交渉してみる。単純に更新料だけを求めている場合は、本人の頑張る気持ちがあるのであれば更新料の支払に応じないで交渉してみることが強調されました。(東京多摩借組ニュースより)
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