村雨庵 茶の湯日記

日々是茶の湯

裁タち縫ヌはぬは仙人の衣

2020-07-08 23:31:38 | Weblog
今日の掛け物は
香川景樹カガワカゲキの詠草を掛けた

 夏瀧ナツタキ
裁タち縫ヌはぬ 
こや山姫ヤマヒメの
白重シラカサね
涼しく見ゆる
瀧の色かな

「裁つたり縫ったりしないという
これはまあ
山の神の山姫の
襲カサネの白重ねでしょうか
どおりで涼しく見える瀧の色ですこと」
と私の解釈
香川景樹は
古今和歌集の伊勢の和歌を
下敷きに
自分の歌を詠んだのだろう
伊勢の和歌は
「たち縫はぬ
きぬきし人も
なきものを
なに山ひめの
布さらすらん」

裁ったり縫ったりしない着物を
着るのは仙人
その仙人もいないのに
山を守り治めるという
山の神の山姫は
どうしてあんな大きな
布を晒しているのだろう

と大きな瀧を眼前に伊勢は和歌を詠んだ

仙人の衣は
 裁つことも、
 縫うこともしてない
 布を着る
白姫とは
 山の神
白重ねとは
 白と白のかさね
瀧は
 布ヌノに見立てられていた

たちぬわぬ…
はじめは何のことか
わからなかった
伊勢の和歌が登場すれば
香川景樹の歌も理解出来た
和歌は面白い
コメント
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