さて今日は、二手に分かれて行動することになりました。栂尾組と市内観光組です。
この数年間に、母と娘たちは数回の京都、奈良観光をしており、周辺のまだ行っていないところは?・・・と地図と首っ引き。
★ 曼殊院門跡(まんしゅいんもんぜき)―洛北の屈指の名刹で、門跡とは皇室一門の方による住職の寺をいうのだそうです。建築様式に桂離宮との様式の類似点が見られるそうです。
狩野永徳の襖絵、探幽の障壁画、遠州好みの枯山水が名刹の名を裏付けています。「上之台所」の特別公開はラッキー!貴賓をもてなす時に使われたものだそうで、主婦はやはり台所の大きなかまどが気になります。
曼朱院に到る道は、両側から延びたカエデの葉がつながって、まさにトンネル。ほんの少し色づき始めたもみじのトンネルに、思わず「わぁ~っ!」と声を上げてしまいました。
運転手さんの説明によれば、関東の人は、きちんと色づかないと納得しないけど、京都の人は色づき初めを「見ごろ」というそうな・・・。「ほんの少し」が京都人の奥ゆかしさを表している のでしょうか。
★詩仙堂―こんなに美しい名前なら・・・という期待どおりの、閑静で起伏のある庭は、文人石川丈山の住まいにふさわしい品のあるひかえめな住まいでした。
詩仙の間には、中国の36詩人の肖像(狩野探幽画)と詩がかけられています。鹿おどしの音が、ここに不釣合いなほど大きかったのは、まさに鹿猪が庭園を荒らすのを防ぐためで、むしろその音を楽しんで老隠の慰めとしたのだとか。丈山は、煎茶(文人茶)の開祖でもあるそうです。
★泉仙(いづせん)― 大徳寺の境内を曲がりくねって進んだ大慈院の中に泉仙があります。肉を一切使わない精進料理。豆腐や揚げで本当の鶏肉のように料理したものもあり、その味と技に魅せられたリピーターの私が、ここを推薦。みな満足でした。外人さんが多く、縁台での食事が気に入ったようです。きっと英文ガイドブックに書いてあるのでしょう。こんなに曲がりくねった奥まったところがよく分かったものだと感心しました。
禅僧の使う鉄鉢を形どった漆の器に、四季の野菜を使った料理が美しく盛られてでてきます。食べ終わったら、こんなに合理的に重なってしまうところが見事!
★竜安寺 ― 石庭=竜安寺というほどに著名な枯山水の庭は、もちろん世界文化遺産。こ
こに来れば、みんなが自然に方丈の縁側に座って庭を眺めたくなります。
ツアーのガイドさんの大きい声が耳に入ったんですが、塀の奥に行くにしたがって低くなるように設計されていて(要するに遠近法を取り入れているのかな?)、実際よりも広く見えるように工夫されているそうです。塀は、土に油が混ぜてありレンガより強度があるとのこと。池泉回遊式の広い庭園も見事でした。
★嵐山―何度来ても、京都は嵐山散策をしないと収まらないような・・・。陽も傾き始めて、運転手さんのおすすめで車窓見学になりました。狭い竹林の中を車OKなんです。
この日の宿はびわ湖畔。ホテルの37階のレストランで卒寿のお祝いの席を設けました。お祝いの挨拶、乾杯、お礼の言葉と形式を踏めば、やはり改まった厳粛な気持ちになります。健康でみんなが集まれるってほんとうにすばらしいことです。
子供が母親の元気を喜ぶ以上に、母が娘と婿殿の健康を心から喜んでいるのをみて、「親思う心に勝る親心」の句をしみじみ思いました。