新・遊歩道

日常の中で気づいたこと、感じたこと、心を打ったこと、旅の記録などを写真入りで書く日記です。

御衣黄桜(ぎょいこうざくら)

2007年04月13日 | まち歩き

070412sakura_014池の周りのウォーキングコースも、桜がだんだん葉桜に変わる頃、「お出まし」とばかりに、おもむろに黄緑色の桜が開き始めます。そう、御衣黄桜(ぎょいこうざくら)です。サトザクラ系に属し、黄緑色の八重、花弁に葉緑体があるという珍しい桜で、全国にもまだ数は多くはないということです。

「御衣」とは貴人の服装のことで、その服の萌黄色がこの桜の花弁の色に似ているところから「御衣黄」といわれたとも…。
5,6年前の春、ウォーキング中に『御衣黄桜』と書いた短冊に気づき、初めてその存在を知りました。きっと、風流な人が素晴らしい桜の存在を教えてあげたいと思われたのでしょう。

070412sakura_011そのときは読み方が分からず「おん・ころも・きざくら」と読むのかな・・・、それでもなんと趣のある読み方だろうと思っていました。「ぎょいこうざくら」の読み方を教えてくれたのは、もの知りの友人です。短冊は風雨にさらされ、ひとシーズンでなくなってしまいましたが、それに気づいた私はラッキーでした。

桜のエピソードといえば、故・進藤元市長の風流な話があります。

昭和59年、道路拡張のために数本の桜が伐採される運命にありました。ある日、その枝に「花守 進藤市長殿」と宛てた詠み人知らずの『花あわれ せめてはあと二旬 ついの開花をゆるし給え』という短冊がぶら下げられました。その後、それに気づいた市民がたくさんの悲願の短歌を枝にかけたのです。

その中に『桜花惜しむ 大和心のうるわしや とわに匂わん花の心は』という進藤市長の返歌もまじっていたのです。この心の交流によって6本の桜は救われました。桜を守るために道路の位置が変更され、歩道のなかに組み入れられてちょっとした休憩のスッポトに整備されました。風流な歌詠み人と『筑前の花守』、なんとも粋な話です。桜の頃になると、この心温まる話を思い出します。      

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