少し前に
大阪府有機農業研究会主催の講義に参加してきました。
今回の講師は
「NPO法人 食と農の研究所」の中塚雅也氏した。
講義の内容は、農村の位置づけの変化と都市と農村のネットワークです。
「農村の位置づけの変化を簡単に説明すると生産の場→労働の場→居住の場→交流の場→多自然居住・多様性の場への変遷です。交流の場までは、国の国土計画に基づき行なわれてきたのですが、なかなか成果が上がらず、今は全体での大きな枠組みを作らずに、地域ごとに対応していきましょうという動きになっているみたいです。
また、都市と農村のネットワークというのは農村には新しい食と農の形を、都市には小さな食と農を日常に、というコンセプトで中塚氏が行なっているのもで、実際に里山のオーナー制度などを行い都市住民と農村とのふれあいを生み出しています。中塚氏曰く「町=住んでいる人だけのものではなくて、行きかう人も寄与するもの」と捉え、その中で想定される問題の解決方法を「NPO法人 食と農の研究所」がフォローするというスタイルで進めているそうです。勿論、これには地域の人の協力やワークショップ、地域の資源管理は欠かせないものとなっているそうです。
今回の講義を聞いて凄く感心したのは、NPO法人ながら都市と農村の交流をビジネスにまで高めていることです。なにかビジネスというとお金儲け=悪というイメージがあり、自然や環境と結びつかない。実際、私もそうでした。でも、ここが大きな問題なのかもしれません。
ある公的なイベントで生産者さんの見学に参加させて頂いた時のことです。、見学者は生産者さんのご好意でもぎたての野菜などを試食させて頂いたり、廉価で購入させて頂きます。生産者さんは勿論、快くこのイベント引き受け、見学者の方々は都市では体験できない貴重な体験を持ち帰る。 でもこれが何年も続くと考えると、どうでしょうか?そう、生産者さんはかなり大きな負担を背負うことになります。しかも、経済力は明らかに都市住民の方が上であるのに。これでは確かに交流は生まれるかもしれませんが、肝心な農村の発展には結びつきません。生産者の方にも生活があり、経済的に潤っている生産者さんは私が知っている限りほとんど皆無です。(これだけが原因ではないですが、だから後継者問題が発生するのでしょう)
そういう意味で、都市と農村のネットワークつくりを行ないながら、参加者・地域の方・主催者がすべて利益を生み出す形を実行される中塚氏を、ほんとうに凄い方だと心から思いました。
最後にすごく印象の強かったひと言ー農業の捉え方として、生物学ではなくてトータルで「農」というものを考える。